国民は全土ロックダウンしてほしい コロナ第2波到来のスイス

政府による追加措置開始の翌日(10月30日)のチューリヒ市の様子|Satomi Iwasawa

 新型コロナウイルス第2波がヨーロッパの国々に広まり、10月22日からアイルランドとチェコを筆頭に2度目のロックダウンが次々実施されている。ギリシャでも、11月7日から始まった。行動制限や営業制限の範囲や実施期間はさまざまだが学校は閉鎖していない国もあり、春のロックダウンと同じではない。しかし、状況は日に日に変化しているため、さらに厳しい措置に踏み切る国も出てくるかもしれない。

◆一部がロックダウンのスイス、全体的に緩い措置
 スイスでも、10月以来1日あたりの新規感染者数が急増している。春は多いときで約1700人だったが、10月末には9千人を超えるほど勢いを取り戻した。11月初めの現在も同様の傾向にあり、まだまだ安心はできない。この状況を受け、スイス連邦政府は10月28日、感染防止の追加措置を発表したが、商店も開いており外出禁止には至っていない。  

 人が集まることに関しては、イベントは50人まで、家族や友人の私的な集まりは10人まで、十分な距離を保てない屋内でのスポーツ(フィットネス講座など)や文化的活動は15人まで(ただしアマチュアの合唱は禁止)という制限が発表され、実施が始まっている。

政府による追加措置開始の翌日(10月30日)のチューリヒ市の様子|Satomi Iwasawa

 商店に関しては、ディスコ、ナイトクラブは営業禁止になったが、レストランやカフェ、バーは朝6時~午後11時までは開いている(これ以外の時間は営業禁止)。小売店も美術館・映画館もスポーツクラブも開いている。

 学校はこれまで通り対面授業が行われ、大学(高等教育機関)のみ対面授業が禁止になり遠隔授業に切り替わった。在宅勤務は引き続き推奨されている。

 ただし、これはあくまで連邦政府による規制。スイスには26の州があり、各州が連邦政府の措置に加え、独自の感染措置を講じている。いくつかの州では娯楽・文化施設を完全に閉鎖した。フランスと接しているジュネーブ州では、さらにレストランやバー、理容・美容業も閉鎖。開いているのは食料品店、薬局、眼鏡店、園芸店、郵便局、銀行など一部となり、不要不急の外出自粛を推奨して本格的な「ロックダウン」に入った。ほかにも「ロックダウン」に入った州はある。

Text by 岩澤 里美