日本ではなぜ落とし物が戻ってくるのか? 海外メディアが原因を分析

Ned Snowman / Shutterstock.com

♦︎交番システムが機能
 日本での返還率の高さには、何が影響しているのだろうか? BBCは文化的規範と仏教・神道の影響に加え、「そして近所のフレンドリーなお巡りさんのおかげで、日本で落し物をしても大きな心配はない」と述べ、交番の制度を大きく取り上げている。

 交番に注目するのは都市情報誌のシティ・ラボも同様だ。日本全国に6300ヶ所の小さな交番が戦略的に配置されており、拾得物の届出先として機能していると紹介する。北陸地方のとある交番では6歳の少年が50円玉を拾ったと届け出たところ、邪険に扱われることなどなく複数の警察官が応対し、ひとりの大人に接するかのような丁寧な対応を受けたという。シティ・ラボ誌からコンタクトを受けた母親は、何か拾ったら交番に届け出るよう幼稚園などで教えられていたためでは、と日本の教育習慣を同誌に紹介している。記事によると、地域に密着した日本の交番システムは海外でも導入が試みられているが、人的リソースを多く必要とするなど難しさがあるようだ。

 カタールの放送局アルジャジーラでは、日本では全般に凶悪犯罪が少ないため、落とし物のようなきめ細かな業務に警察が対応できるのではないかと分析している。治安の良さが落とし物の返還率を高めるという好循環が生まれているようだ。

次のページ 実は良心からではない?




Text by 青葉やまと