オオスズメバチ上陸にアメリカ人戦慄 専門家「日本人らは共存」、落ち着くよう助言
♦︎ミツバチが犠牲に
懸念されるべきは人間への被害ではなく、むしろミツバチへの打撃だとの指摘もある。AP通信によると、ワシントン州立大学で昆虫学を教える専門家は、「健康への危害を及ぼすものであり、さらに重要なことには、ミツバチの無視できない捕食者である」と指摘している。アメリカ北西部のリンゴ農園やブルーベリー農園などでは、結実に欠かせないプロセスである授粉をミツバチに依存している。養蜂家が農園を訪れて受粉させる形だが、捕食者であるオオスズメバチの存在が報じられたいま、養蜂家がミツバチをこの地域で活動させたがらないことが予想される。
さらには奇妙なことに、オオスズメバチをめぐる混乱が広まるにつれ、捕食以外の形でミツバチが危機に追いやられている。スズメバチへの恐怖が報道で大きく取り上げられて以降、人々は本来有益なミツバチまでも駆除しようとしているのだ。ロサンゼルス・タイムズ紙は全米的なパニックが、「アメリカ固有種のスズメバチとミツバチの不必要な大量虐殺を招いており、これらはすでにその個体数が危機にさらされている益虫である」と嘆く。
米農務省によるとミツバチは、アメリカのフルーツ・ナッツ・野菜類のおよそ75%の授粉を助けている。前掲のオレンジジュースの罠ではこれまでのところオオスズメバチを捕らえられておらず、皮肉にもミツバチばかりが犠牲になっているようだ。見慣れぬ殺人スズメバチは現地の人々と農家にとって頭痛のタネとなっている。
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