凍結胚の運命 誰のもの、いつまで保存……遅れる法整備

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 1978年、イギリスで体外受精によって初めて赤ちゃんが生まれた。その後、1984年にはオーストラリアで凍結胚から最初の赤ちゃんが生まれた。医療技術が進化し、それに伴い不妊治療の一つとして、または将来の選択肢を増やすために凍結胚という選択をする人も増えてきた。現在、正確な数字はわかっていないが、アメリカだけでも100万個以上の凍結胚が保存されているといわれている。

◆凍結胚とは
 凍結胚とは、体外受精してできた胚(受精卵)を凍結保存したもののことである。女性が病気などにより卵巣機能が低下し、妊娠する可能性がなくなる、もしくは低くなると予測される場合、将来もし子供が欲しいと思った際に胚を移植して妊娠できるように、胚・受精卵を凍結・保存することができる。日本産科婦人科学会は、「原疾患治療で発生する副作用対策の一環としての医療行為と考えられるので、治療を受ける時期に挙児希望がない場合でも、本人が希望する場合には医療行為として認める必要がある」との見解を示している。

 凍結胚は、凍結卵子や精子とは異なる。女性が卵子を凍結させれば、卵子は女性の所有物で、精子は男性の所有物になるが、卵子と精子を受精させれば、2人の共同所有物となる。そのため、その後の扱いについても二人の同意が必要になる。

 以前は、胚は卵子よりもデリケートではないため、そのプロセスのなかで生き残る確率が高かったが、ガラス化法という急速凍結の技術導入により、この違いは大幅に解消された。不妊治療の専門家であるジョシュア・クライン博士によって創設され、卵子や凍結胚の凍結サービスを提供する会社Extend Fertilityは、この最先端の技術での生存率は、卵子を凍結する場合は90%以上、胚を凍結する場合は約95%とどちらも非常に高いとする。

Text by sayaka ishida

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