日本のコロナの謎、ついに崩れる? 海外の見る日本の対策、今後のゆくえ

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◆クラスター対策にも限界 韓国式に軍配
 しかし海外メディアは、クラスター叩きはもう限界だと述べる。ニューヨーク・タイムズ紙は、緊急事態宣言は、これまでの日本のアプローチではすでに上手くいかなくなっていることを暗黙に認めたことを意味すると指摘。キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授の、日本は失敗しつつあり、現在の感染者数は氷山の一角で患者の急増は東京の医療システムを崩壊させる可能性がある、というコメントを紹介している。

 日本のクラスター対策の効果を認めたWPも、大量検査を行い軽症者でもどんどん発見して隔離することで、感染の鎖を断ち切った韓国式のほうが、最終的には有効なことを示唆する。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、検査の不足は人々に間違った安心感を与えるうえに、現状を正確に把握できないため、適切な感染抑制対策が取れなくなると同紙に述べる。その一例として、3月に東京では花見や飲食店に出かけた人がたくさんいたことをあげ、政府の緩いアプローチのせいで、春の始まりが社会的隔離の失敗に繋がってしまったと同紙は指摘している。

 スタンフォード大学医学部のジョン・ヨアニディス教授も検査数の少なさを不安視する。東京で感染者数が急増したのはウイルスが軽症者や無症状者を通じて日本中に広がっているためだとし、無作為に選んだ住民を検査し、現状を把握することが必要だと述べる。もしもウイルスがかなり広がっていることがわかれば、ハイリスク集団を保護し、医療体制の準備にフォーカスすべきだとしている(Vox)。

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Text by 山川 真智子