日本のコロナの謎、ついに崩れる? 海外の見る日本の対策、今後のゆくえ

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◆WHOも称賛 クラスター対策は有効だった
 そもそも日本の戦略は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の助言に基づき、医療崩壊を防ぐため重症者の治療に集中すると同時に、感染のクラスターを特定するため接触者追跡を行うというものだった。韓国やドイツのような大量検査ではなく、症状のある人とその濃厚接触者を中心に検査が行われてきた。

 日本では、検査の少なさに関する海外からの批判が大きく報じられているが、実は日本の戦略は正しかったという指摘もある。ワシントン・ポスト紙(WP)は、ペンス副大統領が「症状がないなら検査の必要はない。アメリカ国民には、検査のための資源を症状のある人が利用できるよう、この考えを守るよう奨励する」と述べたことを紹介。同様の方針を取ったのが日本だとし、検査を限定して感染の急拡大と医療崩壊を回避できたことを認めている。

 Voxも、日本では新規の感染者が確認されると自治体と専門家チームが協力して濃厚接触者を探し出し、関係する施設などはすぐ閉鎖されると説明。これまで感染爆発となるケースが見られなかったのは、クラスター叩きが効果的だったことの証拠だとしている。

 4月10日のWHOの記者会見では、緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、日本はコロナウイルス対策に非常にシステマティックに取り組み、クラスター叩きを熱心に行ってきたと高く評価した。感染を断ち切るという努力に加え、感染者の5人に1人しか他人に感染させていないという貴重な発見など、データ収集においても役立っているとしている。最近では感染経路が特定できないケースも増えているとしながらも、感染者発見、隔離、接触者追跡という基本をしっかりと守っていると称賛し、今後もサポートしていきたいと好意的だった。

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Text by 山川 真智子