新型コロナ:流れ変えるか、期待される抗体検査 15分で判定、家庭でも

NIAID-RML via AP

 新型コロナウイルス感染の診断には、これまでPCR検査が使われている。現在感染しているかどうかを知るには有効だが、過去にかかった人を特定することはできない。一方、感染した後に免疫ができたかどうかも調べることのできる抗体検査用のキットが開発されており、すでに導入を発表する国も出てきている。

◆血液1滴で判明 検査時間も大幅短縮
 現在行われているPCR検査は、鼻や喉から粘液を採取して、ウイルスの有無を調べるものだ。目的は現時点で感染しているかどうかを見つけ出すことで、結果が出るまでに24時間以上かかることもある。一方抗体検査では、症状がなくても一度感染してしまえば陽性となることから、過去にかかったかどうかもわかる。無症状感染者や別の病気の症状と間違えられていた人なども探知可能だ。指などから少量の血液を採取するだけで、検査時間も15分ほどだという。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、新型コロナウイルスのワクチンや効果的な薬の開発に時間がかかることから、世界中の国が次にベストな対策を探しており、抗体検査が注目されていると述べる。

 イギリス政府は、抗体検査用のキット350万個を購入したと25日に発表しており、早ければ翌週から配布できるようにしたいとしている。早々に複数ある検査キットのバージョンの評価に入る予定で、上手くいけばアマゾンを通じて家庭に配布する、または薬局にストックする形で国民が使えるようにするということだ(WSJ)。感染者と死者が急増しているニューヨークでも、抗体検査を始める許可が米食品医薬局(FDA)から下りたとクオモ知事が28日に発表した。これにより家庭で感染の有無が調べられるとしている(NBC)。

Text by 山川 真智子