新型コロナ:流れ変えるか、期待される抗体検査 15分で判定、家庭でも

NIAID-RML via AP

◆感染把握で安心感 より正確な感染状況把握も
 抗体検査のメリットは、抗体を持った人はうつす、うつされる心配がなくなるため、仕事に戻ったりボランティアとしてほかの人々を助けたりすることが可能になり、パンデミックで生じた混乱の緩和になると指摘されている。医療従事者などに検査を行い、抗体のできている医師や看護師から安全に前線に送り出すことも可能になる。

 抗体検査を拡大することで、感染が社会でどの程度広がっているかを知ることもできる。もし感染していたのに発症しなかった人が検査で多く見つかれば、新型ウイルスの致死率は現在思われているほど高くないということになるだろうとテキサス大学のローレン・アンセル・マイヤーズ教授は説明する。また、子供の感染は少ないと言われているが、感染しにくいのか、それとも感染しても発症しにくいのかがわかれば、学校閉鎖などの判断にも役立つだろうとしている(米公共ラジオNPR)。

◆精度に不安? 免疫の持続期間は不明
 問題点も指摘されている。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のティモシー・ブリューワー教授は、抗体検査は本質的にPCR検査ほどの診断力はないとする。人の免疫システムでは特定の病原体に対して抗体ができるのには時間がかかるため、抗体検査では感染の初期には陰性になってしまうことがあるという。また、類似のコロナウイルス(風邪など)による過去の感染を区別できない場合もときどきあり、偽陽性につながることもあるとしている(ウェブ誌『クオーツ』)。

 専門家の間では、家庭で行う抗体検査の信頼性を疑う声もある。これまで感染症に有効な家庭でできる検査はほとんどないことからもわかるように、精度のよい検査キットを作るのはかなり難しいとスイスの非営利団体「Foundation for Innovative New Diagnostic」のランガラジャン・サンパス氏はWSJに説明する。さらに、使う人が検査キットを適切に扱うことができるかも問題だという。血液中の抗体は、症状が出てから3、4日しなければ探知できないため、それ以前に検査をして感染していないと判断してしまう人も出そうだと同氏は述べている。

 現時点で、免疫がどのぐらい続くかということもわかっていない。獲得した免疫は、感染の重さや免疫反応の強さによって、人それぞれだともされる(ブルームバーグ)。風邪を引き起こすコロナウイルスの免疫は1年以下と言われているが、新型コロナウイルスに関してはさらなるデータ収集が必要だということだ。アイオワ大学のスタンレー・パールマン氏は、もし免疫が数ヶ月程度しか続かないなら、感染が1年以上続いた場合再感染する人が出て、感染の波が繰り返されることになるとNPRに話している。

 抗体検査キットは、すでに日本でもいくつかの会社から発売されている。欧米ではゲームチェンジャー(流れを変える革新的なもの)になるかと期待されているが、日本での普及も気になるところだ。

Text by 山川 真智子

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