中国のほうが安全……欧米を脱出する中国人 緩いウイルス対策に不安

Ng Han Guan / AP Photo

◆対策遅すぎ、学ばなかった欧米
 スペクテイター誌は、中国人の間では、欧米は事態を深刻に捉えていないと認識されているという。とくにイギリスでは、ジョンソン首相が数日前に公共交通機関や店、オフィスなどの閉鎖もなしに「集団免疫」で乗り切るという対策を打ち出し、不安が増大した。甘い対応にがっかりし、中国にいるほうが安心だと思う中国人が増えていると説明している。

 WSJは、中国の封じ込めが成功しつつあるのは、自宅隔離、ビジネスの閉鎖、マスクの着用、検温などの対策に皆が協力して従った結果だとし、中国国内はしっかり管理され安心だと国民が感じていると指摘する。ロンドンに住む中国人女性は、新型コロナウイルスに関しては中国のほうがイギリスより透明性が高く積極的だと同紙に話している。中国での感染が深刻な時期を現地で経験したアメリカ人も中国を高評価。過去2ヶ月間アジアの苦境を見てきたはずのほかの国々がなぜ準備してこなかったのか理解できない、とWSJに話している。

◆チケット争奪戦 政府はウイルス逆輸入を懸念
 欧米の新型コロナ対策への不安が、多くの中国人を帰国に向かわせている。スペクテイター誌によれば、ロンドンから中国行きのチケット価格は2、3倍に跳ね上がっているという。エコノミークラスで片道1500ポンド(約19万5000円)ほどになっているが、中国行きのフライトを停止している航空会社が多く、チケットの数そのものが少ない。起業家などがプライベートジェットのチャーターを始めたが、座席を切り売りする仲介業者で法外な値段を取る者が現れ、中国政府がプライベートジェットの着陸を禁止したとのことだ。同誌によれば、3月第4週目までには、欧州からだけで11万人が中国に帰国すると見られている。

 一方中国は、感染の再燃を懸念しウイルス逆輸入に警戒している。これまで海外から北京に入国する者は自主隔離を求められてきたが、3月16日より政府の用意した施設で14日間の隔離が強制となった。台湾ニュースによれば隔離の費用は日本円で約10万円が徴収されるが、中国人の場合は国民健康保険で賄われるということだ。

 感染が武漢で広がった際には、中国政府には大きな批判が寄せられた。ところが後手に回る欧米の対応で、中国政府の有能さが中国国民の間で認識される結果となっている。スペクテイター誌は、このまま欧米での感染が進めば、中国政府がトランプ大統領並みの飛行禁止令を出すのも、そう先のことではなさそうだと述べている。

Text by 山川 真智子

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