WHOと中国の裏に何が? 不自然な中国「配慮」に、各所から疑問の声 新型肺炎

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 中国の他国に対する影響力も理由の一つだとCNNは指摘する。WHOは事務局長の指名と選択、アジェンダの設定をする加盟国によって直接コントロールされる。政治的にも経済的にも、加盟国に多大な影響力を持つ米中のような大国を怒らせることはWHOにはできないと説明している。

◆実は作戦? 事務局長はつらい
 一方、中国上げはテドロス氏の戦略だという見方もある。科学ジャーナリストのカイ・カプフェルシュミット氏は、中国が気難しく透明性のない国と知っていたからこそ、テドロス氏は中国から情報を取り、中国の対応の仕方に影響を与えるために、あえて怒らせない方法を取ったと見ることもできるとする(CNN)。

 もしも感染拡大の危機の際にテドロス氏が逆に中国を批判し、WHOの活動能力に支障を与えることになっていれば、メディアから叩かれまくっていただろうとCNNは述べる。元WHOコンサルタントで香港大学のトーマス・エイブラハム氏は、「中国同様、結局何をやっても批判されるということだ」と述べ、WHO事務局長のつらさを一言でまとめている。

 もっともBBCは、これまでの努力が民主主義国からどのように見られているかをわかっていないという点で、テドロス氏の政治的手腕はそう冴えたものではないだろうとしている。

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Text by 山川 真智子