貴重な中国人留学生が消える…悲鳴あげる大学 新型肺炎で戻れず

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、各国が中国からの入国制限を行っているため、春節を故郷で過ごしていた大学生たちが、留学先の国に戻れなくなっている。中国人留学生なしでは経営に多大な影響が出るため、大学側は予期せぬ突然の危機に頭を悩ませている。

◆いまや経済大国 高い学費でも海外へ出る中国人
 中国教育省によれば、海外の大学で学ぶ中国人学生は2008年には17万9800人だったが、2018年には66万2000人にまで増加した。多くの大学では、留学生のマジョリティを占めるのは中国人だ。アメリカでは、中国人学生は留学生全体の30%を占める。2017-2018年度では、36万人以上の中国人学生が在籍した。オーストラリアでも10万人以上の中国人留学生がおり、留学生全体の半分を占める(フォーチュン誌)。カナダ、ニュージーランドでも多くの中国人が学んでいる。

 受け入れる大学にとっては、中国人留学生は大切な収入源だ。アメリカでは彼らのほとんどが私立大学でも経済的援助を受けず、全額自費で学費を支払う。公立大学でも州民以外となるため割高の学費を支払っている。CNNのインタビューに答えたニューヨーク大学で学ぶ中国人学生は、年間6万2000ドル(約680万円)の学費を支払っていると答えた。また、シドニー大学で学ぶ学生は、年間4万5000豪ドル(約330万円)を払っているという。フォーチュン誌は、留学生の払う学費が地元学生への補助金の役目を果たしていると述べている。

Text by 山川 真智子