「野生動物の販売を禁止すべき」新型コロナウイルス発生で高まる声 中国
ときが経つにつれて、この政策がどのように持続されていくのかは明確でない。流行が始まる前は、センザンコウやジャコウネコなど54種の販売について、農場で飼育された場合に限り合法であった。しかし、生鮮市場で売買されている動物が合法なのか、違法の野生動物なのか、その判断は難しく法的な効力は緩かったと、ジンフェン・チョウ氏は話す。同氏は、北京を本拠地とする環境保護団体「中国生物多様性の保全および緑化開発財団」の代表を務める。
ジンフェン氏は、一般に広まった、クジャクやウシガエルなど72種を一覧に掲げた武漢の市場にある広告画像を挙げ、すべての野生動物の取引を全面的に禁止しなければ、利得の高い商売を阻止することはできないと指摘する。「巨額の利益なのです……ドラッグのように」
一方で、野生動物の取引を禁じることはリスクを下げるための現実的な方法ではないと、異議を唱える人もいる。世界の貧困地域ではとくに、野生動物が貴重な食糧となり得るのだ。監視体制や規制、公教育を改善することによって、問題解決に向けて統制がとりやすくなる可能性が示される。エコヘルス・アライアンスのダスザック氏は一例として、野生動物を飼育することで、より詳細にウイルスの発生状況を調査し検査することができると述べている。
中国において野生動物の取引が規制、もしくは禁止されることになったとしても、恐らくほかの場所では変わらないだろう。筆者が最近訪れたインドネシアのスラウェシ島や、カメルーンの沿岸都市ドゥアラの生鮮市場は、まさに中国の市場と類似した環境であった。店先でコウモリやイヌ、ネズミ、ワニ、ヘビなどがと殺され、グリルで焼かれている。衛生対策を気に留める様子はない。
野生動物から人へ広がる病気について、モンタナ州立大学で研究を行うライナ・プロウライト氏は、種の生息地がどんどん破壊されている状況によって、人々と動物、そしてそのウイルスの接触がより密なものになっていくだろう、と述べる。
「我々は必然的に影響を受けざるを得ないのです」とプロウライト氏は話す。
By SAM McNEIL and CANDICE CHOI Associated Press
Translated by Mana Ishizuki
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