「私たちにもっと課税して」アメリカの超富裕層、富裕税を支持

投資家のジョージ・ソロス氏|Ronald Zak / AP Photo

 アメリカの超富裕層18人が、2020年の大統領選候補者に向け、自分たちにもっと課税するべきだと訴えた。アメリカでは上位0.1%が富の20%を所有しているとされ、格差が広がっている。アメリカが抱える問題を解決するためには、富裕税導入が必要だという意見だが、実現に向けた課題も指摘されている。

◆格差拡大 超富裕層が未来のために身銭を切る?
 声を上げたのは、投資家のジョージ・ソロス氏、ウォルト・ディズニーの子孫のアビゲール・ディズニー氏、フェイスブック共同創設者のクリス・ヒューズ氏、「ハイアット ホテルズ アンド リゾーツ」オーナーのプリツカー家のメンバー、保険・投資会社「バークシャー・ハサウェイ」副会長の娘のモリー・マンガー氏など、アメリカのスーパーリッチと呼ばれる面々だ。

 ブログプラットフォーム『ミディアム』に載せた公開書簡のなかで、アメリカは彼らの富に課税する道徳的、倫理的、経済的責任があるとしている。さらに、富裕税は公平で愛国的であり、気候変動と戦うための助けになり、国民の健康を改善し、機会の平等を作り、民主的自由を強化するとして、富裕税こそが国の利益になるとしている。

 全米経済研究所によれば、アメリカの富の20%は上位0.1%の超富裕層が握っており、その額は下位90%の富に匹敵するという。これは経済格差が拡大していることを物語る。連邦準備制度の報告書の分析では、1989年から2018年の間に、上位1%の正味資産合計は21兆ドル(約2268兆円)増加したが、下位50%の資産は、9000億ドル(約97兆円)減少している(フォーチュン誌)。

Text by 山川 真智子