「意識変えてくれた」日本支援のジャカルタ地下鉄、市民の新たな文化に

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◆マナーは追い付かず 時間と忍耐で改善を
 地元の報道からMRTが利用者に好評なことはよくわかるが、課題はマナーのようだ。ジャカルタ・ポスト紙は、最新の交通機関への市民の熱狂ぶりに加え、乗客のマナーの悪さを日本の朝日新聞などが大きく報じていると伝えている。

 MRTジャカルタもこの点を心配したのか、乗車時のルールやマナーを紹介するビデオをソーシャルメディア上で紹介した。大声で話さない、食べ物を食べない、他人の携帯をのぞき込まない、いびきをかかない、化粧をしないなどの注意がされているという。しかし、ビデオでのいびきや化粧の例があまりにも現実離れしており、こんなアドバイスより、降りる人が出てから乗車する、お年寄りや妊婦、小さな子供を連れた女性に席を譲る、ごみを捨てないなどの基本的なマナーを教えるべきだという、視聴者からのお叱りが多くあったとのことだ(ジャカルタ・ポスト紙)。

 クリスマンタリ氏は、マナー改善には忍耐が必要だと主張する。2005年に自身が初めて乗った通勤電車は騒々しくて暗く、臭くて汚かったし、乗客は車内で飲食をし、ごみを散らかしていたという。しかしこれもだんだんと改善されているとする。さらにMRT駅でピクニック弁当を食べる乗客を揶揄する人々に対しても、彼らの楽しみ方の一つであると捉え、大目に見てあげてほしいと訴える。すべての人々に海外旅行やMRTに乗った経験があるわけではなく、皆が慣れるのには時間がかかるという意見だ(ジャカルタ・ポスト紙)。

Text by 山川 真智子