イスラム過激派の新たな脅威か? モザンビークで相次ぐ襲撃事件

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 2017年10月以降、資源の豊富なモザンビーク北部でイスラム過激派による襲撃事件が増加している。これについて日本ではほぼ報道されておらず、外務省の海外安全情報でも、モザンビークについて、「現在、モザンビークでは、国際テロ組織の活動は確認されておらず、テロ事件の発生も報告されていません」とされたままである。

◆去年6月に注意喚起を出した米国大使館
 モザンビークにある米国大使館は去年6月、同国北部カボデルガド州のパルマ地区にある政府機関や商業施設を狙った攻撃の可能性があるとして、現地にいる米国人、また今後渡航予定の米国人に対し、退避や渡航延期を呼び掛ける注意喚起を出した。

 国際テロ組織アルカイダが1998年8月、ケニアとタンザニアにある米国大使館を狙った自爆テロを実行し、多くの犠牲者が出た事件を筆者は鮮明に覚えているが、モザンビークにおいて同様にイスラム過激派による攻撃で注意喚起が出されるのは初めてと思われる。

 では、どのような事件が続いているのか。例えば、2018年5月下旬、タンザニア国境にある北部カボデルガド州のモンジャーネ村を武装した集団が襲撃し、子供を含む10人が斬首により殺害される事件が発生した。現地住民たちは、イスラム過激派の犯行だと主張している。また、同年3月にもカボデルガド州にある複数の民家が放火され、1人が死亡する事件があった。そのほかにも、村が襲撃され、ナイフや鉈で村民が殺害される事件が相次いでいる。今年1月までで、このような事件で150人以上が殺害されたという。

 現地の複数のメディアによると、村への襲撃を繰り返すこの武装集団は、「シャバーブ」と呼ばれているが、先月ケニア・ナイロビで高級ホテルや外資系施設を狙ったテロで犯行声明を出した、ソマリアを拠点とするアルカイダ系イスラム過激派「アルシャバーブ(Al Shabaab)」とは関連性はないとされる。

Text by 和田大樹