犬もビーガンにする欧米のトレンド 犬にとって幸せなのか?

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◆犬に必要な栄養を満たす難しさ
 犬の健康に直結する栄養面について、インデペンデント紙によれば、犬の菜食に関する研究はまだ進んでいないが、雑食のため理論上は植物ベースで生きていけるという。犬は、ハイイロオオカミの亜種にあたるが、オオカミが葉や果物を食べていることも論拠のひとつである。

 注意したいのが、市販のビーガンドッグフードがすべて高品質ではないことだ。米国の調査では、市販の25%が必要な栄養素を含んでいないことが判明している。自家製となるとさらに栄養バランスの問題がある。ヨーロッパの86匹のベジタリアン犬の研究では、タンパク質、必須アミノ酸、亜鉛、ビタミンDおよびB12など、半分以上の栄養素が不足していた。完全菜食のビーガンとなればなおさらだろう。

 ナショナル・ジオグラフィック誌は、このタンパク質不足を解消する、麹を使ったドッグフードを紹介している。麹を使うと風味がよくなり、肉に比べて環境負荷が小さいという主張も伝えている。

                                                                                                                 

◆ビーガンはペットのためになるのか?
 犬自身にとってプラスになる要因は何であろうか。サンタバーバラを拠点とする獣医師ジーン・グリークは、「犬が食物アレルギーの場合、大抵たんぱく質が引き金になっている」と話す(ガーディアン紙)。皮膚の痒みは、鶏肉や牛肉をダックや鹿肉に変える、もしくはビーガン食に変えることが好ましいとされる。

 犬の嗜好としては、興味深い報告がある。しばらくビーガン犬として育てられたハスキーの前に、野菜と肉を置いたところ、犬は野菜には見向きもせず肉を選んだ(メトロ紙)。肉を食べることには、栄養だけではない効能がある。肉や生皮、骨を咀嚼することで満足感、リラックス感が生まれ、犬の精神を保つ効果が大きいと言われている(インデペンデント紙)。

 それでは猫はどうだろうか。猫は肉食動物のため、ビーガンではアミノ酸の不足で筋肉が弱り、心停止が起こる可能性があるという。それでも、必要な栄養素を与えれば問題ないはずだとフェイスブック上で情報交換する飼い主のコミュニティには7,000人以上が名前を連ねる(ガーディアン紙)。

 ペットに対して、人間のエゴの押し付けとならないことを祈りたい。

Text by 鳴海汐