大気汚染が都市犯罪を増加させる背景を解明する

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◆犯罪行為
 これまでの証拠で、特に若者の間で大気汚染により不品行が増加することがわかっている。しかし、より深刻な影響を及ぼす可能性をさらなる研究が示している。大気汚染とアメリカの9,360都市における犯罪に関するある研究は、大気汚染が犯罪を増加させていることを示している。汚染された空気は不安感を増大させ、その結果、犯罪や非倫理的な行為につながる可能性がある。大気汚染レベルが高い都市ほど犯罪率が高いとその研究は結論づけている。

 先ごろイギリスで行われた研究は、2年間におよぶ180万件の犯罪データとロンドン各地区の大気汚染データを比較し、気温、湿度、降水量、曜日、季節などの要素を考慮した分析を行い、この問題に関するさらに詳しい情報を提示している。

 毎日の大気汚染の程度を示す空気質指数(Air Quality Index: AQI)が10ポイント増加すると犯罪率が0.9パーセント増加することが研究者によって確認されている。大気汚染度が特に高い日にはロンドンの犯罪率も高くなっており、大気汚染がロンドン屈指の富裕地区と貧困地区の犯罪に影響を及ぼしていることがこの研究で判明した。

 この研究結果は具体的に、ロンドンの高レベルの大気汚染と万引きやスリなどの軽犯罪の増加との関連を示している。しかし、殺人、性的暴行、重症を負わせる暴行のような重大犯罪には大きな影響が見られなかった点は見落とせない。

Text by The Conversation