進化したカプセルホテル、外国人観光客にも人気に 海外でも建設

Mr. James Kelley / Shutterstock.com

 かつては終電を逃したサラリーマンが、寂しく泊まる場所だったカプセルホテル。しかし近年は、ラウンジやバーが併設され、寝具、Wi-Fiや充電設備などにも気を配った、おしゃれで個性的なものが登場している。安価で清潔なうえ立地が良いところも魅力となっており、旅行客からの人気も高い。いまや海外でも、現地の需要に合わせた施設が続々と建設されている。

◆「安かろう悪かろう」は過去 おしゃれで機能的な施設が続々登場
 フォーブス誌は、カプセルホテルは1970年代の日本で始まり、簡素で宿泊者同士がほとんど顔を合わせない場所だったと述べる。米CNBCも、仕事や飲み会で夜遅くなり、終電に間に合わなかったサラリーマンが仕方なく泊まる場所だったと解説する。日本のタクシー代は世界で3番目の高さだとし、無理してタクシーで帰宅するよりも、カプセルホテルに泊まってしまうほうが安くつくと説明している。

                                                                                                                 

 ところが近年、このようなイメージを覆すカプセルホテルが登場している。狭いながらも、寝心地の良いマットレスを採用し、高速Wi-Fiが使えるのはもちろん、電源やライティングにも気を配り、テレビ付きの場合もあるという。ラウンジやバーなど、仕事や食事ができる共有スペースが設けられていることも多い。トイレや浴室は共同だが清潔に保たれており、女性も安心して泊まれる。すでに、カプセルホテルはサラリーマンだけでなく、一般の旅行者が泊まる場所として認識されつつある。

◆ミニマリスト的コンセプトに共感 海外でも人気
 フォーブス誌は、近年は旅行者の消費パターンは慎ましやかになっており、多くがベーシックで必要なものだけあればいいという、「手の届くぜいたく」を求めていると述べる。例えば、欲しいのはミニバーやスパなどではなく、高速Wi-Fiや、iPadの充電やちょっとした作業に仕える小さなデスクなどということだ。

 総合不動産サービス大手のJLLは、おしゃれで機能的なカプセルホテルを「デザイン主導の環境で、シェアされた小さな睡眠用空間に革新的な共有スペースが付いたもの」と定義している(フォーブス誌)。このコンセプトは世界でも受け入れられ、いまや海外でも続々とカプセルホテルが建設されている。

 WiseGuy Research Consultantsが発表したレポートによれば、世界のカプセルホテル市場の価値は、2016年の1億5900万ドル(約172億円)から2022年には2億2600万ドル(約244億円)になると予想される。カプセルホテルが多いのは日本、中国、台湾、シンガポール、ロシアなどだが、なかでも中国が急成長中で、今後は東南アジアでの成長も見込めるとしている。テレグラフ紙は、世界の最もクールなカプセルホテルを特集し、アジアのみならずオーストラリア、欧州、北米などでも、ここ数年人気だと解説している。

◆体験談は総じてポジティブ ただし大きな改善点も
 さて、海外メディアでは、さまざまな「カプセルホテル体験記」が発表されている。外国ではPod Hotel(ポッドホテル:Podは豆のさや、容器を意味する)とも呼ばれているそうだ。CNBCの記者は、銀座のカプセルホテルに宿泊。狭いのに1泊70ドル(約7500円)もすると述べているが、ロケーションの良さと、周りのホテルが1泊300ドル(約3万2500円)以上することを考えれば理解できるとしている。パジャマが用意されていること、ラウンジやバーがあることに感心しているが、最も驚いたのは日本のテクノロジーだとし、「テレビのリモコンよりボタンの多いトイレ」や「コードレスアイロン」を紹介している。

 フォーブス誌に寄稿したテック&トラベル・ライターのジェフリー・モリソン氏は、いくつかの日本のカプセルホテルに宿泊している。30ドル(約3200円。注:記事は2016年のもの)で眠れて朝清潔なシャワーが浴びられるのは安いと高評価だが、寝室の入り口のカーテンを閉めると空気の流れが途絶えると指摘。特に日本人は外国人より高めの室温を好むため、息苦しいと述べている。香港の初のカプセルホテル「SLEEEP」に宿泊した、ビジネス・インサイダー誌のハリソン・ジェイコブズ氏は、おしゃれさとハイテクぶりには驚いたものの、やはり空調が悪く、入り口のカーテンを開けざるを得なかったとしている。ちなみに日本では、カプセルごとに空調付きの施設もあるということだ。

 カプセルホテル最大の問題点として、全員が指摘したのが騒音だった。とにかく壁が薄いため、周りの人の動く音がよく聞こえるのだという。CNBCの記者は、眠りの浅い人には不向きとしている。モリソン氏は、まるでメガフォンの中に住んでいるようだったとし、電話の充電器でさえも、落とせば一番端の人まで聞こえそうだと述べている。ジェイコブス氏も、早朝から支度をしてチェックアウトする人々の音で目が覚めてしまったとしており、いかに防音するかが、今後の課題となりそうだ。

Text by 山川 真智子

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