「土俵下りて」問題、海外の視線は角界の体質よりも日本の性差別へ

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◆土俵は神聖。でも女人禁制に根拠なし?
 海外メディアが興味を持っているのは、「女性が土俵に上がれない」理由だ。WPは、「相撲は神道の伝統に基づく男性だけのスポーツで、土俵は『不浄』な女性が入れない神聖な場所」と土俵と女性の関係を説明する。CNNも、「女性は絶対に土俵には上がれない」と述べ、日本初の女性知事、太田房江氏でさえ、知事杯を土俵で渡すことはかなわなかったと解説している。

 しかしNYTは、歴史上の記述では、女性力士や行司の存在も確認されていると述べる。早稲田大学スポーツ科学部のリー・トンプソン教授は、過去にそうだったから今もそうしたいという現場の考えがベースになっていると見ており、今日の女人禁制の伝統は習慣のようなものだとしている。

 相撲ジャーナリストの荒井太郎氏も、女性が土俵に上がれないことへの歴史的根拠や理由はないとロイターに語っている。過去にはファンのイベントで、小さな女の子が土俵で力士と相撲を取ったこともあったと述べ、今回のように理由があるなら、女性が土俵に上がるのは問題ないという見解を示している。

                                                                                                                 

◆相撲界が映す日本の性差別。伝統は言い訳だ
 相撲界の体質以上に海外メディアが注目しているのは、性差別の部分だ。NYTは、男女の平等においては、日本は先進国の中では下位に位置するとし、今回の事件は日本において女性がどのように考えられているかの隠喩として見られると述べる。女性にとって男女平等への障害は無数にあるが、男女を問わず日本人は職場や伝統を変えることに消極的で、「物事を変えないため、伝統という名を利用している」という京都外国語大学の根本宮美子教授の意見を紹介している。

 青山学院大学のチェルシー・シーダー氏はWPに対し、日本はグローバルスタンダードに合わせようとするが、例えば女性は天皇になれない、女性すし職人がほとんどいないなど、伝統と性別で分けられた領域の存在が、女性の壁になっていると述べる。伝統とは人が作ったもので、人の役に立つためにあるべきだと同氏は述べ、どうすれば伝統が時代に合ったものになるのかを、今回の事件が考えるきっかけになればよいとしている。

Text by 山川 真智子