中国、「プーさん」とアルファベットの「N」を禁止 習近平批判を抑圧

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◆Nが消えた理由
 任期撤廃の発表に衝撃を受けた微博のユーザーが、発言を監視されていることを知りつつも、その人生の恐怖を「嗚呼、我々は北朝鮮になるのだろう」と表現しようとした。しかし、習政権は既に手を回していた。数時間以内にそういった投稿はすべて削除されたという(豪ニュースサイト『new.com.au』)。

 いくつかの掲示板において、ネットユーザーたちは他のユーザーたちに検閲の隙間を縫っての書き込みを、「綱渡りだ」と警告した。 1人のマイクロブロガーは次のように書いている。「1回投稿したけれど、13分以内に検閲で消えていたからもう一度投稿する」「私は、憲法第79条の第3節にある『2期以上の連続した任期は認めない』という条項の改正に反対する」。その後「2期限」や「継続規則」などの改正案に関連する様々な用語は微博では検索できなくなった(ニュースサイトWhat’s on微博)。

 破壊分子とみなされる内容の中に、英字「N」があった。ニューヨーク・タイムズ紙は、「社会科学者が数学的に異議を表明することを阻止するつもり」だったのだろうと説明している.「N>2」で、Nは習氏の任期数を表現し得るからだろうと(フォーチュン誌)。

◆プーさんは政治的ミームに
 プーさんの画像も禁止された。この中国の統治者は、くまのプーさんに例えられたことがある。似たような体型だという嘲笑と共に(フォーチューン誌)。最初にプーさんが、中国のウェブサイトやソーシャルメディアネットワークから削除されたのは2013年のこと。訪米した習氏とオバマ氏が連れ添って歩く写真が、プーさんと虎のキャラクターのティガーが一緒に歩く写真とセットで画像が出回った時である。

 今回の任期制限の撤廃が発表された後、微博のユーザーたちは、ディズニーの公式アカウントに投稿をした。プーさんが大きなはちみつの壺を抱きしめている画像に対し、「大好きなものをみつけてそれに傾倒すること」というキャプションがあった。それも検閲で瞬く間に削除された(『new.com.au』)。

「それも深刻な事態でなければ面白いのだけれど。絞首台の背後ではユーモアも消える」とオーストラリア戦略政策研究所のアナリストであるファーガス・ライアン氏はコメントしている。

Text by 鳴海汐