米で「殺人インフルエンザ」が猛威、すでに死者多数 日本への影響は?

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 今年もインフルエンザの季節がやってきた。日本と同様アメリカでも毎年同じ季節にインフルエンザが流行するが、報道によると、今年アメリカで大流行するウイルスは例年とは違い感染力が強く症状も重い「H3N2型」。オーストラリアで昨年流行したものと同じタイプで、記事中の医師によるとアメリカではもはや「疫病(エピデミック)級」の猛威をふるっているという。

◆アメリカでは数千人規模の死者が出る可能性も
 米疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、アメリカでは今年のインフルエンザ大流行により、1月20日の時点では50州中ハワイ州を除く49州で感染が拡大しているという。しかしまだピークは迎えていないそうで、感染拡大は今後もしばらく続きそうだ。

 CDCの統計によると、2017年10月1日から2018年1月20日までの間でインフルエンザが原因の入院患者数は、カリフォルニア、コロラド、コネチカット、ジョージア、メリーランド、ミネソタ、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、テネシー各州の計10州70郡のみで11,965人を数えた。

 1月20日付のカリフォルニア州食料農業局(CDPH)の統計によると、カリフォルニア州では65歳以下の死者が今季97人。同州ではインフルエンザの場合、死者数統計を65歳以下でしか出さないため、65歳以上の死者も足すとさらに多くなると思われる。

 南部アラバマ州では1月10日、同州内の公衆保健衛生上の非常事態宣言を発令した。地元テレビ局WBRCの1月25日付の報道によると、同州ではこれまで今シーズン44人がインフルエンザ関連の原因により死亡している。

 また中西部インディアナ州の地元紙サウス・ベンド・トリビューン(電子版)によると、同州では今季107人がインフルエンザで死亡した。3州だけでこれまで計248人が死亡しているということは、50州全体を合わせると死者数は最終的に数千人以上の規模になる恐れもありそうだ。

◆日本上陸は時間の問題? H3N2型はなぜ恐ろしいのか
 1月22日付のタイム誌の記事によると、アメリカで今年大流行しているA型の「H3N2」はインフルエンザワクチンの効力が薄いため、例年にはみられない感染拡大につながった恐れがあるという。

 2017年11月9日付 CNNの報道によると、アメリカの医学専門家は同年オーストラリアでH3N2型インフルエンザの大流行が発生したことから、今シーズンのアメリカにおける同型インフルエンザの流行が例年よりも拡大し、被害が大きくなることを予想していたという。

 同記事によると、オーストラリア保健省は昨年のシーズン、同国でインフルエンザに関連した入院患者数は215,280人、死者数は504人を数えたとしている。死者数においてはもちろんすでにアメリカがオーストラリアの数を超えていることは疑いがない。

 CDCによると、インフルエンザはおよそ1.8メートル以内の距離で感染力があり、インフルエンザウイルスを持った人がくしゃみをしたり、話したりしているときに唾液が飛び、別の人の鼻や口からウイルスが入り込んで感染することが多いという。

 つまり1.8メートル以内にいる人が多ければ多いほど感染する確率が高いということで、人口密度の高い都市で満員電車に乗ったり、狭いオフィスで多くの同僚と働いたりする場合、それだけ感染率がアップすることになる。アメリカでこれだけ流行しているインフルエンザが日本に飛び火することは時間の問題であり、アメリカより人口密度が高いであろう日本で感染が拡大することは想像に難くない。

Text by 川島 実佳