「ikigai(生きがい)」に注目し始めた海外 「人生をより良くしてくれる概念かも」

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「毎日、生きがいを感じている」「やっと生きがいを見つけられた」——何気なく使う『生きがい』という言葉だが、どうやら日本独特のコンセプトのようだ。生きがいを持つことで人生がより豊かになるとして、海外のメディアで話題になっている。

◆海外に広がる『生きがい』の概念
 日本では馴染みのある単語だが、目新しいコンセプトとして海外では高く評価されている。インデペンデント紙(9月19日)では「よって、もしかすると私たちの人生をより良くするのは、日本発のikigaiという概念かもしれない」と期待を寄せる。「生きがい」を直訳できる英単語は存在しないが、人生の意味を追求することだと解釈されているようだ。

 生きがいという言葉の由来は、意外にも「貝」にあるようだ。ビジネス・インサイダー誌によると、平安時代には貝は貴重な存在であり、ここから人生の意味を表す「甲斐」に転化したとのことで、意外な経緯が興味深い。平安時代に生まれた日本の言葉が、今や英語として広まりつつあるというわけだ。

◆目標を見失わない効果で、人生をレベルアップ
 生きがいを持つことで、さまざまなプラスの効果が生まれる。フォーブス誌は心理学者のバリ・ジル氏の寄稿記事を掲載し、自分自身に正面から向き合い、困難な状況でもゴールを忘れないという効果を伝えている。

 BBCでは、日本の苛酷な通勤・労働環境を生き抜く秘訣は、もしかすると生きがいを持っている事かもしれない、と分析しているようだ。仕事を必ずしも生きがいにする必要はないものの、日本人は和を尊ぶ文化が強いため、チームに貢献して感謝されることが大きなモチベーションになっているという。

 私生活の面では、生きがいと長寿との関係が期待されている。BBCが注目するのは、長寿の地域として知られる沖縄だ。100歳を超える人々が多く暮らすこの地域では、高齢者世代は若い世代に智慧を伝えるという強い責任感を持っている。これが大きな生きがいとなり、長寿をもたらしているとしている。インデペンデント紙も、退職後は病を患いやすいなど、目標を失うことの危険性を指摘する。生きがいという人生の目標を持つことで、健康面への好影響が期待できるかもしれない。

◆より良く生きるための生きがいの4要素
 生きがいを見出すためのヒントとして、ビジネス・インサイダー誌は、「好きなこと」「得意なこと」「世界があなたに期待すること」「報酬を得られること」の4つを意識すると良いとしている。

 もう少しシンプルに考えたいという人には、「あなたの生きがいは、得意なことと好きなことの交差点にあるのです」という言葉が参考になるかもしれない。これは、生きがいに関する書籍の著者の言葉としてインデペンデント紙が紹介しているものだ。

 同紙によると、「なぜ今この作業をしているのか?」と常に自分に問いかけることも有効だという。こうして無駄な作業に気づき、自身の決めた生きがいに直結することに時間を振り分けることで、ライフスタイルの質を高めることができるとのことだ。

 日本生まれのコンセプトが、海を越えて人生の向上に役立っているようだ。海外メディアが紹介する4要素を逆輸入して、生きがいを見直してみるのも良いかもしれない。

Text by 青葉やまと

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