「女性専用車両はひどいアイデア」 英国で批判の嵐 その理由とは?

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◆女性専用車両の実態と交通労組の考えるありかた
 実際、日本やメキシコなど他の国では女性専用車両が普及しているところもある。活動家やその他の議員は、それは暴行の防止が不可能だと認めたも同然であり、その他の車両での犯罪増加につながった可能性があると発言している(ガーディアン紙)。

 ガーディアン紙によると、交通労組の会議書記長であるミック・ウェラン氏は、女性専用車両は答えではない、有効ではないとしている。性犯罪を常態化させることになるし、全ての電車の全ての車両を安全にするのは民営の鉄道会社の責任というのが理由である。鉄道会社が正しく人を配置すれば女性は安全だと感じるので、電車内や駅にきちんと警護を配置するよう要求している。同氏は、女性はどこでも座りたいところに座る権利があり、「性別のアパルトヘイトをイギリスの鉄道に望まない」と語る。

◆その他の団体からも批判の嵐
 BBCは、フェミニストの団体からも一様に反対されている様子を報じている。

 日常の差別の事例を記録するサイト『Everyday Sexism』のローラ・ベイツ氏は、決して車両を分けることが答えではないと話す。女性が単純にどこかに行くべきという考えによって、すでに常態化しているこの問題がさらに悪化しうるという明確なメッセージを送らなければならないとする。

 キャンペーングループ「End Violence Against Women(女性に対する暴力の終息)」は、政策が「加害者に取り組むことが何もない」との懸念を表明した。「女性が専用車両を使わないで、性犯罪に遭遇したらとがめられるのだろうか?」

 女性平等党の共同発起人のキャサリン・メイヤー氏は、2015年に労働党のリーダーが発言したときと同じく、よいアイデアではないとツイートしている。

Text by 鳴海汐