開業インドネシア高速鉄道に懸念も……「負の遺産」化を恐れる声

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◆高利の中国融資に手を伸ばす
 コスト超過をカバーするため、インドネシアは中国開発銀行に融資を求めた。インドネシアのルフット・パンジャイタン海洋・投資担当調整大臣は、金利が「2%以上」になると明かしている。

 サウスチャイナ・モーニングポストは、「この融資は、ウィドドが日本ではなく中国をプロジェクトに選定していなければ、回避できた金額だとする批判もある」と指摘する。

 金利2%の中国に対し、日本は0.1%を提案していた。「日本が提案した62億米ドルの予算は、プロジェクトの最終価格より低かっただろう」とも同紙は述べている。

試乗時の様子(9月18日)|Achmad Ibrahim / AP Photo

 学術系ニュースサイト『カンバセーション』は今年5月、プロジェクト費用が当初予想の60億ドルから12億ドルも膨れ上がったと指摘。昨年12月には2人の命を奪う事故が起きるなど、プロジェクトは難局続きだと報じている。記事は、港建設プロジェクトで負債に行き詰まったスリランカが中国企業に実質的に港を乗っ取られた事例を振り返り、インドネシアの高速鉄道プロジェクトは過去の例に学ぶべきだとも警戒を呼びかけている。

 将来への期待を背負う高速鉄道プロジェクトは、課題を抱えながら走り出した。今後東ジャワ州の州都であり主要港を擁するスラバヤにまで延伸する計画がある。別途進行中の首都移転計画を含め、渋滞解消と経済発展の同時進行を狙うインドネシアだが、展望は不透明だ。

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Text by 青葉やまと