ビール1缶でも健康に悪影響 研究で否定される「少量なら健康に良い」

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◆「赤ワインは健康に良い」の考え方も変わりつつある
 従来は医療の現場でも、適量の飲酒は健康に良いとの見解が聞かれることがあった。ドイツの研究者であるウルリッヒ・ジョン氏は、ウェブMD誌(2021年11月3日)に対し、「医療現場では長年、少量から中程度の飲酒は、特に心臓血管に関し、健康に寄与すると考えられてきました」と説明している。こと赤ワインの適量摂取について、完全に禁酒するよりも長寿につながるとの見解が目立った。

 だが、同氏が主導した研究により、この考え方は否定されたという。過去の調査において、アルコールを一切摂取しないとされた母集団を分析したところ、以前アルコールの健康被害を経験したためお酒を断っている人々が実に3分の1ほどいることが判明した。これにより、禁酒グループの健康状態がデータ上悪化し、飲酒に健康メリットがあるように見えていたという。

 また、2万5000人以上を対象としたイギリスの研究では、脳にとって安全なアルコール摂取量というものは存在せず、「適度」の飲酒でも脳のほぼすべての部分に悪影響を及ぼすことが明らかになった。

 神経細胞が集中する脳の灰白質(かくはいしつ)と呼ばれる領域において、アルコールの摂取量が多いほど密度が低下することが明らかになった。健康に良いと考えられていた赤ワインを摂取する人々も、例外ではなかったという。

 お酒はコミュニケーションの潤滑油としての役割もあり、一概に飲酒が良くないとは言いきれない面もある。しかし、健康の面から議論する場合、少量ならば有益であるとの見解は徐々に改められてきているようだ。

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Text by 青葉やまと