睡眠時間を増やすことで痩せられる可能性 摂取カロリーが減少 米研究
睡眠とカロリーの関係は密接だ。以前から研究により、寝不足が続くと肥満になりやすいことが明らかになっている。新たな研究により、その逆もまた真ということが判明した。寝不足気味の人が毎晩の睡眠時間を増やすと、自然とカロリー摂取を抑えることができるのだという。
◆1.2時間多く眠ると、毎日270kcalの抑制効果
研究を行ったのは、シカゴ大学睡眠センターのエスラ・タサリ博士らのチームだ。チームは1日の睡眠時間が6.5時間未満、過体重(BMI25以上30未満)の成人80名を対象とし、2週間をかけて実験を行った。期間中、被験者たちを2つのグループに分け、一方には通常通りの生活を行ってもらい、他方には睡眠のカウンセリングを施したうえで自宅で十分な睡眠を取るよう心がけてもらった。後者のグループは8.5時間の睡眠時間を目標としており、実際の睡眠時間はこれには及ばなかったものの、1晩あたり通常よりも平均で1.2時間ほど多く眠っている。
参加者たちのカロリー摂取量を尿検査によって推定したところ、睡眠時間を延ばしたグループはそうでないグループに比べ、1日の摂取カロリーが平均270kcalほど減少していたことがわかった。実験は短期間の成果に焦点を当てたものだが、この傾向が仮に長期的に維持された場合、3年間で12キロの減量効果が期待されると研究チームは述べている。研究成果は論文の形で2月7日、アメリカ医師会が刊行する医学専門誌「JAMAインターナル・メディシン」に掲載された。
◆睡眠と摂取カロリーの深いつながり
これまでにも睡眠不足が肥満の危険因子であることは知られてきたが、研究結果は睡眠の重要性に改めてスポットライトを当てるものだ。米ヘルス・ライン誌(2月7日)は、「十分な睡眠は総合的な健康と良い生活状態に欠かせない要因であるとする証拠が増えているが、新たな研究がこれに加わった」と紹介している。これまでの研究では、睡眠不足により食事量が増加する傾向が示されていた。今回はその逆のパターンとして、十分な睡眠によって摂取カロリーが抑制されることが証明された。
実験期間中、被験者たちは食生活や運動習慣の改善を指示されたわけではない。純粋に睡眠習慣を変えるだけで摂取カロリーが管理できる可能性を示す結果となっており、日頃寝不足かつ体重のコントロールに興味がある人々にとっては朗報となりそうだ。平均で270kcalの減少だが、なかには500kcal以上減少した被験者もみられた。結果は英ガーディアン紙(2月8日)も取り上げ、「体重過多の成人がいつもより長く眠ると、日中の食事を変えなくても体重減少につながる可能性があることを研究者が示した」と報じている。
◆食欲増の理由とは
寝足りないときに食欲が増してしまうのは何故なのだろうか? 過去の研究により、体内のホルモンが関係していることがわかっている。睡眠のアドバイザーであるライアン・フィオレンツィ氏はヘルス・ライン誌に対し、「睡眠不足はストレスホルモンのコルチゾールを体内で増加させ、また、食欲をコントロールするホルモンであるレプチンのレベルを低減させることが、研究によって証明されています」と説明している。1日あたりの睡眠時間が6時間を切る人は、7時間以上の人と比べて肥満になりやすい傾向があるのだという。
さらに米エブリデイ・ヘルス誌(2月9日)は、寝不足になると飢餓ホルモンとも呼ばれるグレリンのレベルが上昇し、食欲が増進すると解説している。加えて、寝不足の状態では塩分・糖分・脂肪分の多い食品を求め、脳の報酬系が活発に働くことになる。この影響で、カロリーの多いジャンクフードを摂取しがちになる。
きちんとした睡眠時間を確保することで、本来不要なカロリー摂取を抑えることができそうだ。
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