人口の5%未満、ショートスリーパーとは? 毎日5時間睡眠でも問題なし

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睡眠時間が7時間を切ってしまった翌朝は、相当つらい思いで過ごすことになりがちだ。しかし、世の中にはショートスリーパーと呼ばれる人々が存在する。かなり短い睡眠時間でリフレッシュでき、より長く生産的な毎日を送れるのだという。

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◆短い眠りで高い生産性 歴史上の人物たちにも
アメリカに住む64歳のブラッド・ジョンソン氏は、子供の頃から5時間ほどしか寝てこなかったという生まれつきのショートスリーパーだ。兄弟たちは8時間から10時間ほど眠る一方、ブラッド氏はかなり疲れている日でも8時間眠ることはできない。一般に7〜8時間の睡眠時間が推奨されているため、ブラッド氏はCNNに対し、「もっと眠らなくては」という義務感に苦しむことがあったと打ち明ける。しかし、短時間睡眠が原因で機嫌を損ねたり体調に異変を来したりすることはなく、毎日5時間ほどの眠りだけで問題なく暮らしている。

このようなショートスリーパーはブラッド氏だけでなく、歴史上の偉人たちにも同様の人物がいる。米サイコロジー・トゥデイ誌は、俗にショートスリーパーだったと考えられている偉人の例として、ナポレオン、ナイチンゲール、テスラ、チャーチル、サッチャーなどを挙げている。単に不眠の人々がショートスリーパーと混同されることがあるが、ここでいうショートスリーパーは短時間の睡眠でも正常に暮らしている人々を指す。このような真のショートスリーパーはかなりめずらしく、最大でも人口全体の5%に満たないと推定されている。

◆遺伝子の変異がショートスリーパーを生む?
こうした人々が短時間の睡眠でも生活できている理由は長らく謎であったが、2009年の研究を発端として、DEC2という遺伝子上に変異があることが判明した。DEC2は時計遺伝子と呼ばれるもののひとつで、体内リズムに関与する。その後の研究により、ADRB1とNPSR1という遺伝子の変異も関係していることがわかってきた。これらは脳内のアドレナリンなどの受容体に影響し、短時間睡眠を誘発する。CNNによると、前掲のブラッド氏の場合も父親がショートスリーパーであり、遺伝的要因が影響したと考えられている。

遺伝的要因のほかには、外科手術のあとにショートスリーパーに転じた例がある。サイコロジー・トゥデイ誌は、脳内の髄液の経路のひとつである「第三脳室」がふさがれた患者が、髄液の圧力を下げる手術を受けた例を紹介している。この例では、毎晩7〜8時間寝ていた患者が術後は4〜5時間しか眠らなくなったが、気分も身体機能も良好であった。遺伝的要因以外に、未知の外的要因がショートスリーパーを形成する可能性がありそうだ。

◆短い眠りでも、むしろ活発な性格
普通の人であれば寝足りないと活動が衰えるものだが、短時間睡眠の人々はむしろ活発に行動するタイプが多い。研究によるとショートスリーパーの9割以上がタイプAのパーソナリティをもち、陽気で社交的な性格だとされている。トレイルラン(山岳マラソン)に打ち込み、あるいはバイオリン職人を志してそれを実現するなど、意欲的な行動が目立つ。神経学の専門家はCNNに対し、ショートスリーパーには肉体的・精神的にタフな人々が多いと説明している。

ショートスリーパーの人々が短い眠りで満ち足りるのは、深い睡眠に時間を割いているためかもしれない。サイコロジー・トゥデイ誌は1971年の研究を参照し、ロングスリーパーとショートスリーパーでは睡眠のパターンが異なると指摘している。睡眠中の脳波を測定したところ、ショートスリーパーの場合、浅い眠りであるレム睡眠とステージ2の睡眠の時間が少ないことが判明した。通常よりも多くの割合をより深い眠りに充てていることになる。

注意しなければならないのは、5時間ほどの睡眠で問題ないのはごく一部の人々に限られるということだ。米ヘルス・ライン誌は、短時間しか眠らないことで疲労感を感じたり、睡眠を必要としているのに眠れなかったりする場合、ショートスリーパーではなく睡眠障害である可能性があるとして注意を促している。もしも生まれつきのショートスリーパーでない場合は、たっぷりと眠る方がかえって生産性が高まることだろう。

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Text by 青葉やまと