もう怖くない、金縛りのメカニズムと予防法 恐れるほどかかりやすくなる?

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◆脳は半覚醒、筋肉はスリープ・モード
 場所によってさまざまな空想上のモンスターを生み出してきた金縛りだが、そのメカニズムは科学的に解明されているようだ。カプリート氏は金縛りを、入眠直後または覚醒直前に起きる、筋肉機能の一時的な喪失によるものだと説明している。このとき、脳の状態としてはリアルな夢と現実の中間を漂っているが、本人としては夢からすでに醒めたものと認識している。一方で身体はまだ「スリープ・モード」から抜け出しておらず、意思に反して筋肉はほとんど動かない。このため身体の自由がきかず、まだ寝ぼけたままの脳は、何者かに押さえつけられているかのような幻影を見ることになる。

 では、そもそも睡眠中に筋肉が動かないのはなぜだろうか? 米科学誌のサイエンティフィック・アメリカンはこの理由を、睡眠中のケガを防止するための脳のスマートな機能によるものだと説明している。人間は浅い睡眠である「レム睡眠」と深い睡眠である「ノンレム睡眠」を1.5時間ほどのサイクルで繰り返し、レム睡眠の時間にはリアルな夢を見る。このとき、もし夢の世界の状況に応じて身体が動いてしまうと、現実世界で眠っている身体は思わぬケガを負うことになりかねない。これを予防するため、一時的に筋肉の動作を停止し、あえて意思の通りに動かないようにしているというわけだ。金縛りはいわば、この安全装置の副作用とも言えるだろう。

◆原因を知ることが予防の第一歩
 このように原因を理解しておくと、息苦しい体験をする確率を減らすことができそうだ。皮肉なもので、金縛りを超常現象として恐れるほど不安感が募り、かえって金縛りにかかりやすくなってしまう、とサイエンティフィック・アメリカン誌は説明している。

 このほかカプリート氏は予防のテクニックとして、仰向けではなく横向きに寝ることを推奨している。2018年の研究により、仰向けの場合に金縛りにより遭いやすいことが判明した。無意識に仰向けに戻ってしまう場合は、横向きに寝て、背中側の後ろに枕をあてがっておくと良いようだ。このほか、規則正しい時間に眠ること、寝室にはテレビなどを置かずに睡眠に集中すること、寝る前のカフェインは避けること、そしてストレスを溜めないことなど、そもそも眠りの質を高めることも予防に役立つ。

 金縛りに遭ったことのある人の割合は5人に1人程度と決して多くはないが、繰り返しかかると、トラウマが残るなど深刻な事態を招きかねない。発生のメカニズムと予防法を正しく理解して、朝までぐっすりと眠りたい。

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Text by 青葉やまと