“見た目は変だけどやみつきになる”広島のお好み焼き、海外からの注目度上昇中

 オバマ大統領の広島訪問で大いに沸いた広島だが、近年観光地としての人気も上昇中だ。平和公園、宮島などはすでに海外の大手旅行ガイドでも必見と紹介されている。また、地元のソウルフードともいえるお好み焼きも、海外メディアに注目されている。

◆オバマ大統領訪問前から人気上昇中
 CNNは、オバマ大統領の訪問により、すでに人気の高い日本の観光地に、さらに明るいスポットライトが当たったと述べる。原爆投下から70周年に当たる2015年に広島平和記念資料館を訪れた外国人は約34万人で、前年比44.6%増の記録的数字となり、4年連続の増加となっている。

 広島平和文化センターは、この人気は日本を訪れる外国人観光客が増加したことに加え、海外の観光ウェブサイトで上位にランクされたためと見ている。CNNは、このサイトはおそらく『トリップアドバイザー』ではないかと指摘する。事実、同サイトの「外国人に人気の日本の観光スポット」には、広島平和記念資料館(原爆ドーム、平和記念公園)が2位、宮島の厳島神社が3位にランクインしており(5月30日現在)、宣伝効果をもたらしているようだ。

◆悲劇の町から平和の町へ
 広島が海外から注目を浴びているのは確かだが、観光地としての課題もある。地元のツーリズム関係者は「広島は、『悲しい都市』という世界の認識を変えるという試練に向き合っている。実際の広島は、人々のイメージとはとても異なる」と述べており、「平和」を前面に出し、観光客を誘致したいとしている(フォックス・ニュース)。

 フォックス・ニュースのサイトに寄稿したアイリーン・オギンツ氏は、現在の広島は近代的で活気に満ちた都市だと述べる。働き、子供を学校に送り出し、広島カープを熱狂的に応援する市民の様子は、他の都市の人々と何ら変わるところがないと説明し、広島が完全に復興していることを読者に示している。

◆お好み焼きは癖になる味
 国際観光振興機構の関係者によれば、戦後世代は人類史の観点から広島に興味を持つが、若い世代では町の発展の歴史が分かるマツダの自動車工場見学とともに、お好み焼きの人気が、年々高まっているということだ(フォックス・ニュース)。

 米公共ラジオ局、PRIのレポーター、ジェイソン・マーゴリス氏は、お好み焼きとはキャベツ、卵、鰹節、ネギ、豚肉などが入ったパンケーキだと説明しており、広島のものは麺入りが基本で、マヨネーズとウスターソース的なものがトッピングされていると述べる。14年前、広島の友人の勧めで初めてお好み焼きを食べた同氏は、「おかしな名前、おかしな味、おかしな見た目」が受け入れられず、好きになれなかったという。

 ところが2度目に食べたときに、なにかピンとくるものを感じ、以来すっかりお好み焼きにはまり、今では食べたくてしょうがなくなるほどだと述べる。ボストン大学の日本文化研究者、メリー・ホワイト氏も、「ベタベタでもっちり。見た目も良くない。日本には『目で食べる』という表現があるのに、とてもそんな気持ちになれない」として、最初はお好み焼きが嫌いだったが、後にマーゴリス氏と同様の変身を遂げ、ファンになっている(PRI)。お好み焼きとは、外国人にとって、第一印象は悪いが癖になる味のようだ。

 前出のオギンツ氏は、広島には2000軒を超えるお好み焼き店があり、『お好み村』にある数十件の店は、どれも独自の調味料を使用していると説明。特色のあるソースをたっぷりとかけて味わうようにとアドバイスしている。ちなみにお好み村のサイトは英中韓国語に対応しており、すでに多くの外国人観光客を呼び寄せているようだ。

 ホワイト氏はオバマ大統領が広島を訪問する前に、「もし大統領が食べたら、(アメリカでも)食のトレンドになるかも」と述べていたが、PRIは、大統領がお好み焼きを食べたという報告はないとしている。日本の前の訪問先ベトナムでは、ハノイの食堂で6ドル(約700円)のディナーを食べたと報じられたオバマ大統領。次回来日があるとすれば、ぜひ庶民の味、お好み焼きをご賞味いただきたい。

Text by 山川 真智子