NYコミコン大盛況 “女性がコスプレしやすい環境”整備でトラブル半減

 米ポップカルチャーの祭典「ニューヨーク・コミコン」(NYCC)が9~12日、マンハッタンのジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センターで開かれた。コミックやSF、ファンタジー映画、ゲームやおもちゃまで内容は幅広く、参加者のコスプレも見どころとなっている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、コミコン参加者の人種や年齢層は幅広く、 “Diversity”(多様性)をテーマに20以上のパネルディスカッションやイベントが行われた。

 新作宣伝のためにサプライズゲストが登場するのも有名で、今年はジョージ・クルーニー、イライジャ・ウッドなどの俳優が参加した。海外メディアは、NYCCの盛況ぶりを報じている。

◆毎年規模が拡大
 NYCCは、最も歴史と知名度のある「サンディエゴ・コミコン」に次いで、米国で2番目の規模だ。2006年の初開催以来、出展企業、来場者ともに年々増え続けている。今年は会期前にチケットが完売し、ネットオークションで最高10倍の値段がつくほどの人気ぶりだったという。

 WSJによると、参加者は15万1000人で、昨年より1.8万人増えた。NPR Booksのエディター、ペトラ・メイヤー氏は、内容はサンディエゴの方が幅広いものの、数字ではNYCCがサンディエゴを超えた、と述べる。

『スーパーマン』『バットマン』を生みだしたDC Entertainmentの共同発行者であるDan Didio氏は、NYCCが「独自のスタイルを持ち始めた」と話す。WSJは、オタクのアイコン的な存在であるパトリック・スチュワート氏が数年前からニューヨークに在住していることも影響している、と見る。

 また、NYCCに先駆けて、全区で10日間のNew York Super Weekが開催された。映画上映やパネルディスカッションから、『新スター・トレック』キャストの再会など幅広いイベントが行われた。コンベンションを主催したリード・ポップ社のランス・フェンスターマン上級副社長は、今後のさらなる大規模化を予想する(WSJ)。

◆女性に優しい環境づくり
 NYCCでは、コスプレする女性が参加者の半数近くを占めるという。海外記事では、バットマンやスーパーマンなどのアメコミヒーロー、ディズニーキャラなどに扮する人々が紹介されている。中には、ファイナル・ファンタジーシリーズや、『進撃の巨人』など、日本の人気ゲーム・マンガ・アニメキャラクターのコスプレイヤーもいたようだ。

 そんな中、女性コスプレイヤーへのセクハラの取り締まりが課題になっているという。フェンスターマン氏は、2013年には苦情が過去最多となったと話す。NYCCは女性がコスプレしやすい環境を提供するため、今年から新しい対策を取り入れた。参加者に、「許容できない行動」を知ってもらうことで問題の解決に取り組んでいるという(タイム誌)。

 会場には『COSPLAY IS NOT CONSENT』(コスプレは同意ではない)と書かれたサインボードを設置し、「勝手にコスプレイヤーに触らないこと。撮影時には必ず聞いてから」との一文を加えた。さらに携帯アプリのモジュールを作り、その場で問題に対処できるサービスを提供した。嫌がらせの現場を見つかればすぐに退場というルールによって、トラブルは昨年の半数となる8件に減ったという(タイム誌)。

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Text by NewSphere 編集部