好調の日本株、海外は楽観視 2024年はどうなる?

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◆ゲームチェンジャーか? 東証の本気の改革を評価
 さらに評価されているのが、ゴールドマン・サックスのアナリストにゲームチェンジャーだと言わせた、東京証券取引所のコーポレート・ガバナンス改革だ。東証はバリュエーションと収益を高めるインセンティブを上場企業に与えており、上場企業は資本を効率的に活用していることを示さなければ上場廃止になる可能性もある。投資家は、株の持ち合いが解消されたことなどがガバナンスの改善を示すものと見ているとゴールドマン・サックスは指摘している。

 バンク・オブ・アメリカも、企業の取締役が改革に真剣に取り組むようになるにつれ、日本企業の利益が今後増加すると予想(マーケット・インサイダー誌)。SCMPも、コーポレート・ガバナンス改革によって日本株に対する投資家の信頼が高まっているとしている。

 その他の要因として、日本がデフレから脱却すること、また米中関係悪化のなかサプライチェーンの多様化によって利益を得ることを投資家が期待しており、日本株上昇につながったという見方がある(CNBC)。また、中国経済の減速で、中国に代わる投資先として海外投資家が日本に注目したという見方をフィナンシャル・タイムズ紙は示している。ゴールドマン・サックスは、拡充されたつみたてNISAが個人の株式市場の参入を促し、市場の安定した上昇トレンドが維持されると予想している。

◆円安続かない? 金融政策に不安
 海外投資家は、おおむね日本経済は底堅く、企業の収益も上昇すると予想し、2024年の日本株は35年前のピークを超えるだろうとみている。しかし、アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利下げと日銀の金融政策の転換が不安要素でもあるようだ。FRBの利下げと日本の利上げは、円高に傾く原因となる可能性もある。

 一方、日本は円安誘導の金融緩和政策を続けてきたが、金融緩和によって経済を牽引(けんいん)し続けることは困難だとみられている。長期的なさらなる円安は、輸入依存の日本の消費者物価を押し上げ家計に打撃を与えるとEYジャパンの小林暢子氏は指摘。日本の株高の持続は、賃金や物価上昇を通じて日本がデフレから脱却し、インフレに移行できるかにかかっていると述べている。(SCMP)

Text by 山川 真智子