コロナ前の3分の1以下、ハワイを訪れる日本人 完全回復への課題は

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 先日、ホノルルのワード地区にあり、現地住民のハブとなっている自然食品店「ホールフーズ・マーケット」の屋外テラスで筆者が休憩していた際、突然建物の傍に巨大な観光バス数台が乗りつけ、中から大勢の日本人団体観光客が出てきて、列になり入店していくという光景に出くわした。新型コロナウイルスが発生し、アメリカがほぼ「鎖国」状態になった2020年3月以降、これほど多くの日本人観光客を見たことがなかったが、これはハワイに日本人観光客が徐々に戻ってきていることを示す象徴的な出来事だったようだ。

◆日本人観光客数は昨年比409%増
 ハワイ州産業経済開発観光局の統計によると、4月の日本人観光客総数は3万4358人で、うち9割はオアフ島のみの旅行である。これは前年同月の6749人と比較して409.1%という著しい増加を見せている。今年5月の観光客数はまだ公表されていないが、ゴールデンウィークがあったことを考えるとこれより高い数値になることはまず間違いないだろう。

 その後6月に入って、5月よりさらに街で日本人観光客を見かける機会が増えた。今後、日本の夏休みの7~8月に入ると、家族連れの日本人観光客がさらに増加することは確実だろう。しかし前出の統計によると、新型コロナ前の2019年同月の日本人観光客数は11万5078人。今年はこの3分の1以下で、まだまだ程遠い状態だ。

 ちなみに、今年4月のアメリカ本土からの観光客数は65万1810人で、こちらは新型コロナ以前の数値に回復している。しかし昨年の70万3746人からは7.4%減少しており、これは世界各国で新型コロナ流行が収まったため、国外旅行への需要が戻ってきたためと思われる。桜の時期に日本へ渡航したアメリカ人観光客も多かったことだろう。

Text by 川島 実佳