売れる本の7冊に1冊が日本の漫画のフランス 日本風に描く現地作家も

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 世界で2番目に漫画が売れる国フランス。パンデミック以来、漫画の人気はますます高まり、フランスのマンガBDをも凌ぐ勢いとなっている。漫画とBDはどう違うのか? フランスの視点から解説する。

◆7冊に1冊は漫画が売れた2022年
  約30年前に日本の漫画がフランスに現れて以来、その人気は高まる一方だ。市場調査会社GfKの1月26日の発表によれば、2022年のBDと漫画の売上高は9億2100万ユーロ、販売数は8500万部となった。漫画だけでみると、売上高は10年前の4倍の3億8100万ユーロ、販売数は4800万部で、フランスで購入された本の7冊に1冊の割合となった。

 3年前の2019年はフランスのベストセラー100冊に漫画は1冊も入っていなかったが、2020年に3冊、2021年に24冊、2022年に28冊が入り、この数年で漫画人気が加速したことがよくわかる(ル・ポワン誌、1/26)。

 フランス語で「Manga」と言うと、基本的に日本の漫画を指す。それに対して以前からあるフランスのマンガのことは、バンド・デシネ(略してBD(ベーデー))と呼ぶ。

 あえて言えば、漫画は(広義の)BDの1ジャンルだ。日本の漫画やフランスのBD、アメリカのコミックブックなどすべてを含めた広義のBDは、2022年のフランスの書籍市場の25.2%を占めた。そのうちの半分以上にあたる57%が日本の漫画だった。なかでも、「Shonen」と呼ばれる少年漫画は43%を占める人気となっている。

 1990年に最初にフランスで漫画『AKIRA』が発売された時には、これを暴力的なものとみなし眉をひそめる人が多かったことを思うと、隔世の感がある。

Text by 冠ゆき