オシャレ食材として注目される魚の缶詰 TikTokが人気を後押し

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 魚の缶詰がアメリカなどでオシャレ食材として人気を集め、売上高が伸びている。ティックトックも後押しするトレンドとは。

◆従来のツナ缶とは違う魚缶
 2022年、アメリカにおける魚の缶詰の売上高は9.7%増え、27億ドルを記録。高級な魚の缶詰が今人気を集めているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じる。2018年時点で、ツナ缶がミレニアル世代の間で売れていないというニュースを伝えていた。当時のデータでは、最近ツナ缶を購入した人の割合が、55歳以上だと45%であったのに対し、18歳から34歳の層では32%のみであった。また、2016年までの30年間の間で、ツナ缶の消費量が42%減少したという米農務省(USDA)のデータも報じられていた

 より新鮮な食材を求めるといった志向や、手軽な食品の豊富な選択肢などが、ツナ缶消費の減少の要因として考えられていたようだが、新型コロナウイルスのパンデミックで在宅時間が増え、ストック可能かつ調理不要のツナ缶の需要が高まった。魚缶のグローバル市場は今後も拡大することが予測されている。

 一方で、今注目を浴びているのは従来から存在するコモディティ化した魚缶ではなく、洗練されたパッケージが特徴的でもあるハイエンドな魚缶だ。たとえばカナダのスカウト・キャニング(Scout Canning)が提供するブランド、スカウト(Scout)のツナ缶は同社のイーコマースサイト上にて、4パック41.99ドル(約5400円)の価格で販売されている。ちなみにアメリカの大衆的なツナ缶ブランド、スターキストのツナ缶はウォールマートでは1.14ドルで販売されている。100グラムあたりで比較すると、スターキストの価格が約1ドルに対して、スカウトが約7ドルという価格差だ。ちなみに2022年、スカウトの売上高は82%増加した。

 ハイエンド化する魚缶はニューヨークなどのレストランでも展開されている。ゼロウェイストをコンセプトにするブルックリンのワインバー、ロドラ(Rhodora)は、魚缶の少量パッケージは食品ロスにつながり、アルミ缶は簡単にリサイクルできるとし、魚缶を食事メニューの一部に取り入れている。ちなみにツナ缶とトーストのメニューは20ドルの価格で販売されている。

Text by MAKI NAKATA