「トム・クルーズはOKなのに?」日本の慎重な入国規制緩和、海外から称賛と不満の声

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◆試験ツアーは難航
 6月10日からの本格的なツアー客受け入れに先立ち、すでに海外旅行社による複数のテストツアーが実施されている。しかしロイターは「すでにテストツアーは困難に直面している」と指摘する。日本の観光庁は5月30日、大分を訪れたツアー客が新型コロナウイルスの陽性反応を示したと発表した。同行した3名は無症状だったが、同ツアーは日程の途中で打ち切られた。

 本格展開後の感染者増加が懸念されるが、さらに入国規制を緩和すべきだとの考えも海外にはあるようだ。ワシントン・ポスト紙(6月1日)は、日本の体制は慎重すぎるとして不満を示している。「日本の執拗な制限」はG7やほかのアジア諸国の動きに沿わないものであり、テストツアーで訪日した計50名の観光客も「あらゆる動作を監視されながら試験実施に参加した」と批判的に報じている。

◆日本の規制、矛盾か成功か
 日本は帰国者や留学生、ビジネス目的などでの訪問を認めながら、観光客については一律に入国を制限してきた。ワシントン・ポスト紙は、映画『トップガン』のプレミアイベントに出席したトム・クルーズが日本への入国を許されたことを挙げ、一部外国人のみが「安全」と判断されることに「矛盾」があると指摘している。

 一方、ブルームバーグは、コロナ予防に関して「日本がなぜ相当に成功してきたのか」については詳細がわかっていないとしながらも、「ほかの国々にやみくもに追従して成功したのではないことは確かだ」とし、日本独自の対応を評価している。ただし、球場での声出し応援は認めるなど規制を緩和しなければ、「過剰な警戒心が定着してしまう可能性がある」とも論じる。

 本格的な受け入れ再開を前に、あるべきコロナ対策についての認識の違いをどうすり合わせていくかが課題となりそうだ。

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Text by 青葉やまと