インド新幹線、26年に時速350kmで試験へ 車両はE5系を現地化

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◆インドに向けたカスタマイズ
 新幹線車両は日本国内の工場で製造され、空輸によりインドに届けられる予定だ。一部車両のみインドに部品を持ち込み、現地で組み立てる方式を採る。インディアTVは、日本と共同で進める今回のプロジェクトが完了したのち、日本がインドに対して技術移転を実施すると報じている。将来的には現地でさらなる高速鉄道プロジェクトを進められるようになるという。

 車両は日本のE5系新幹線の技術を基礎としつつ、現地に向けた細かな改良が施される。タイムズ・オブ・インディア紙は、インドの気温や塵などに合わせた変更が加えられると報じた。平均体重も異なることから、より高い負荷にも耐えられるよう改善される予定だ。

◆技術に期待の裏で、政治問題も
 インド国営の高速鉄道会社のサティシュ・アグニホトリ社長は、日本の技術が「世界でベスト」だと述べた。「日本のE5系新幹線はフランスとドイツ製に、技術とスピード、そしてその他の面で優っている」と氏はコメントしている(インディアン・エクスプレス)。

 インド高速鉄道をめぐっては、土地取得などに起因する計画の遅延が問題となってきた。路線上のグジャラート州ではほぼすべての土地の買収が完了したが、同じく路線が必要とするマハラシュトラ州の土地は68%が買収されたのみだ。インディアTVはインド人民党とマハラシュトラ州との関係悪化も阻害要因となり、これまでにムンバイのターミナル駅の入札が11回も中止されたと報じている。

 日本の技術提供だけで解決できない課題も立ちはだかるが、路線が完成すれば快適な旅が実現しそうだ。

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Text by 青葉やまと