革新的ビジネスモデルで中国発「シーイン」が台頭 終わりなきファストファッションの行方

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 ファストファッションのグローバル市場はこの先も拡大を続ける見込みだ。テクノロジーの活用で、サプライチェーンをより効率化することに成功したシーイン(Shein)は、その勢力を拡大している。一方、さらなる購買・消費・返品を促進するファストファッションにおいて、サステナビリティの実現は引き続きの課題である。ファストファッションの現在地とは。

◆勢力を拡大するシーイン
 ファストファッション・グローバル市場報告書2021によると、2021年のグローバルのファストファッション市場規模は、2020年から21.9%成長し、約310億ドルとの推計だ。2020年のパンデミックからの回復が主な成長の要因だ。市場は年平均成長率(CAGR)7%でさらに拡大し、2025年には約400億ドルに達するとの予測である。ファストファッションは若者層がそのさらなる成長をけん引している。

 ファストファッションは、ザラを保有するインディテックス、H&M、ファスト・リテーリングなどが市場をリードしてきたが、Z世代を中心に人気を集め、急速にプレゼンスを高めているのが中国発のオンライン限定ファッション小売のシーインだ。シーインは、中国の起業家クリス・シュー(許仰天(Xu Yangtian)/Chris Xu)が2008年に南京で創立したブランド。当初はSheInsideというドメイン名でウェディングドレスと女性ファッションに特化した、米国および英語圏市場向けのオンラインショップとしてスタートした。シューはファッション業界出身ではなく、SEOマーケティングに長けた起業家で、そのSEOの専門性とブランドマーケティングこそ、シーインがオンラインでのプレゼンスを拡大させた主要因であるとVoxは分析する。

 シーインは8年連続100%以上の成長率で、2020年には100億ドル近くの売上を記録。昨年アマゾンを抜いて、米国で最も多くインストールされたショッピングアプリとなった。また、シーインはティックトックやYouTubeでプレゼンスを拡大し、世界ナンバーワンのトラフィックを誇るショッピングサイトとなった。シーインは、ほかのファストファッションブランドと比較して、より低価格でより多くの商品を市場に投入してきた。著名な音楽アーティストなどのセレブリティとのコラボレーションだけでなく、一般人インフルエンサーの活用も特徴的だ。

Text by MAKI NAKATA