オレンジジュース価格が上昇 フロリダ産が記録的な不作

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◆オレンジジュース離れから一転 コロナで人気復活
 WFTSによると、フロリダ産オレンジの95%はジュース生産に回され、アメリカで消費されるオレンジジュースの約半分に使用されていることから、今後のオレンジジュースの供給への影響が懸念されている。

 農業製品の分析を専門とするショーン・ハケット氏によれば、パンデミック以前の20年間は、オレンジジュースの需要は減少傾向にあった。主要な原因は、消費者の健康に対する考え方が変わり、比較的糖分が多くカロリーも高いオレンジジュースが流行らなくなったためという。さらに、多くのアメリカ人が家で朝食を取らずテイクアウトを利用するようになったことも、オレンジジュース離れを加速させたと見られている。(CNN

 しかしパンデミックによって朝食を家で取る人の数が増え、一部の人々は再びオレンジジュースを飲むようになった。調査会社ユーロモニターの調べでは、実際にアメリカの濃縮タイプではない100%オレンジジュースの売り上げは2020年になって増加し、2021年も同レベルだった。(CNN)

 コンステーブル氏は、ビタミンCがコロナ予防になるという情報もオレンジジュース消費を押し上げたと指摘する。アメリカではビタミンCが風邪やインフルエンザを防ぐと信じる人が多く、コロナの場合も同様だという意見もあるという。実際のところ、ビタミンCがコロナを予防するという決定的証拠はないという見解を米国立衛生研究所は示している。それでもオレンジジュース自体が健康維持に全般的に役立つと思われていることから、さらなる需要を呼ぶと見られている。(フォーブス誌)

◆インフレ、他産地の不振も 価格高騰は不可避
 ハケット氏は、現在起こっているのは典型的な需給のミスマッチだとし、オレンジジュースの価格上昇は今後も必至だとしている。アメリカではすでにインフレが加速し、季節調整前の消費者物価指数は、過去1年で7%も上昇している。フルーツジュースやノンアルコール飲料の価格はすでに5.7%急騰し、オレンジジュースの先物価格も上昇している。(CNN)

 輸入で賄う方法もあるが、オレンジの大産地であるブラジルは昨年歴史的な干ばつに襲われ収穫が減っており、期待薄だという。パンデミックで再評価されたものの、手軽に飲めるオレンジジュースのイメージはしばらく封印となるのかもしれない。

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Text by 山川 真智子