全米のスーパーで品不足続出 オミクロン感染以外にも理由

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 パンデミックが始まり、世界各地で品不足や買い占めなどの問題が報じられてきた。年末からオミクロン感染が急拡大したアメリカでは、食料品を中心に品不足が再燃。空っぽのスーパーの棚の様子などがメディアに大きく取り上げられている。しかし今回は感染以外にも複数の原因が重なったとされる。

◆人手不足深刻 負のサイクルに突入
 品不足の最も大きな原因は、感染拡大による労働者不足だ。1月16日付のニューヨークタイムズ紙のデータでは、全米の7日間平均の入院患者数は15万4452人と2週間前に比べ68%増加。感染者数は1日平均80万5069人で108%増となっている。家庭用迅速検査キットの利用者もいることから、統計に反映されていない感染者も多数いると言われる。

 ワシントン・エグザミナー誌は、多くの人が感染したことで仕事ができない人が大量発生し、サプライチェーンの悪化を招いていると指摘する。米疾病対策センター(CDC)は感染拡大を防ぐため、軽症者であっても数日間は自宅待機や隔離を求めている。食品工場や倉庫で働く人が休めば、配送用のトラックへの積み込みが遅れ、トラック運転手が病欠になれば食品はスーパーに届かず、棚は空っぽになるという悪循環が起こっている。

 さらに感染や隔離による欠勤が増えているのに、スーパーの店舗では通常業務に加えて清掃の強化、マスク着用や距離を取ることの復活などで、従業員の負担が増えたことも人手不足を助長しているとワシントン・ポスト紙(WP)は指摘する。また、学校がオンライン授業に切り替わった地域もあり、パートで働く従業員が子供の世話のため仕事を休まざるを得ないケースも増えている。

Text by 山川 真智子