迷走する計画停電、揺れる「世界の工場」 海上輸送も乱れ、今年はサンタ来ない?

Chinatopix via AP

 フランスでは今年のクリスマスはサンタが来ないのでは、という声が高まっている。新型コロナウイルス禍による世界の物流の混乱で、ペースが落ちたままの海上運送の運賃だけが高騰し、世界的な納期遅れが起きているからだ。それに加え、ここのところ中国では計画停電が原因で業者の生産活動が制限される事態になっている。このままでは世界のサプライチェーンに影響が出るのは必至で、それはおもちゃ業界に限られるものではない。

◆10倍に膨れ上がった輸送費と原料不足
 クリスマスの書き入れ時を前に、フランスでは9月半ばからおもちゃ業界で、在庫不足がささやかれている。たとえば、ぬいぐるみを扱う業者は、この時期ならすでにストックで満杯であるはずの倉庫に、アジアから来る予定の商品が35%足りないという(フランス・アンフォ、10/1)。パンデミック以来高騰した海上輸送費は、相変わらず上昇したままで、あるおもちゃ会社の代表によれば、以前は1500ドルだった40フィートコンテナの輸送費が、現在は約15000ドルと10倍に膨れ上がっている(20minutes紙、10/11)。しかも、以前は48~72時間が標準だったコンテナのローテーションが、いまでは2週間もかかりきわめて効率も悪い(ル・モンド紙、9/27)。さらにいえば、電気部品や木材、プラスチックなどの原料も不足しており、値上がりも避けて通れない状況だ。上述のおもちゃ会社は、バズルや紙製ゲームなど一部を国内生産に切り替えて対処しているが、すべての製造拠点の移転は、一朝一夕にいくものではないと嘆息する。

◆中国の計画停電
 この状況に追い打ちをかけるのが、中国の電力不足だ。その深刻さは、中国の公的メディアさえ報じるほどになっている。たとえば、中国東部江蘇省のある繊維工場は、少なくとも10月7日以降まで停電が続くという通知を9月21日に受けた(グローバル・タイムズ紙、9/26)。

 南部広東省の混乱も相当なものだ。ある電気機器アクセサリーメーカーの工場責任者は、6月から散発的にあった停電が9月半ばからは定期的になり、「いまでは毎週、次の週のどの日に停電があるかを知らせる通知が来る」と語る(日経アジア、10/8)。この工場には、週に2日しか電力が供給されないため、自前で発電機を調達したが、この状況が続けば費用もかさみ出荷も確実に遅れるという。

Text by 冠ゆき