アメリカでケチャップ不足 コロナで需要増、対応に追われる老舗

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◆ケチャップ大好きアメリカ人 老舗も慌てて増産対応
 調査会社ユーロモニターによれば、ケチャップはアメリカのレストランで最も消費されている卓上調味料で、昨年は外食産業向けに約30万トンが販売されている。また、家庭ではさらに多くのケチャップが消費されており、パンデミックの影響でアメリカのケチャップの小売売上高は2020年に10億ドル(約1100億円)を超え、前年より約15%の増加となっている(WSJ)。

 ケチャップ不足を深刻に受け止めているのが、150年の歴史を持つ米最大のケチャップメーカー、クラフト・ハインツ社だ。ハインツは全米の調味料小売市場の70%を占めており、ケチャップの王様とも呼ばれている。しかし、パンデミックへの準備はできておらず、小分けケチャップの注文の増加に対応することがすぐにできなかった。同社は2つの新規製造ラインを4月に稼働させ、生産量を25%増やし、年間120億個の小分けケチャップを製造すると発表。工場のシフトも増やし、ほかの商品の生産を削減して、小分けケチャップの増産を行う予定だ。レストランに対しては、供給が増えるまでもうしばらく辛抱してほしいとしている(WSJ)。

◆小分けでコスト上昇 食べ物や資源の無駄も
 アメリカでは、レストランの収容人数の制限などを解除する州も出ているが、ケチャップの提供の仕方にはいまだ厳しいという。たとえばテキサス州では、調味料は客の希望があるときだけ出し、再利用できない1回分の分量で提供するとしている(WSJ)。

 レストランでは、小さな金属や紙のカップにケチャップを入れて出したり、袋の切りにくい従来の小分けパックではなく、ディップ&スクイーズと呼ばれる小型プラスチック容器入りのケチャップを提供したりして対応している。しかし、使わないまま食事を終える客もおり、店側のコスト上昇にもつながっている(WSJ)。

 さらに食品ロス、また包装資材の無駄遣いという観点からも、ケチャップを小分けにするのは好ましくない。そこでハインツでは、レストランやファーストフード店でのイートイン用に、上部に手をかざすだけでケチャップが自動的に出てくるモーションセンサーを利用したディスペンサーを開発した。スポーツスタジアムや遊園地、映画館やコンサートホールでも活用してもらいたいとしており、ケチャップの王様としての責任感を見せている。

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Text by 山川 真智子