アメリカで家電不足が問題に 予想外の需要増 修理も困難

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アメリカでは大型の台所家電を中心に製造や供給が滞り、品薄となっている。買い替えようにも品物がない、注文できても配達は数ヶ月後という状況だ。需給バランスが元に戻ることは当分ないという見方もあり、かつてない困難な事態となっている。

◆前代未聞? ほしい家電が買えない
 アメリカでは食洗機、乾燥機、さらには除湿機や電子レンジまで、品薄が広がっている。家電業界で44年の経験を持つ男性は、過去にトラック運転手のストやコンプレッサーの世界的な供給ストップなどで冷蔵庫やガスコンロの在庫不足が起こったことはあったが、今回のような事態は前代未聞だとピッツバーグ・ポスト・ガゼット紙(PPG)に話している。

 最初に品薄となったのは冷凍庫だ。パンデミックの初期に食料品不足の不安から買い溜めが相次ぎ、増えた食品を保存しようと人々が冷凍庫購入に走った。同時期に可処分所得の高い層では、行けなくなった旅行の代わりや、浮いた子供の保育園代などで、家電のアップデートをする動きも出たという(PPG)。

 ロックダウンで人々が家に籠るようになると、台所家電の出番が急増した。残り物の温めからパン作りまで、いままで以上に家電を使うことによって故障が増え、これが買い替え需要を呼んでいる。テキサス州サンアントニオに住む女性は、壊れた大型冷蔵庫の買い替えのため量販店を訪れたが、商品入荷まで2ヶ月待ちと言われたという(米公共ラジオ網NPR)。

 ボルチモアの電気店のオーナーは、急を要するお客はとにかく手に入るものを買って行く状態だと述べる。量販店のオンラインショップでさえ冷蔵庫の納品に数ヶ月を要するところもあり、品不足は深刻だ(ボルチモア・サン紙)。

Text by 山川 真智子