欧州のタックスヘイヴン、ルクセンブルクの秘密に迫る「OpenLux」

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 フランスのル・モンド紙は2月8日、ルクセンブルクのタックス・ヘイヴンぶりを明らかにする1年がかりの調査結果を公開した。名付けて「OpenLux」。ルクセンブルクといえば、2014年に税務当局の内部資料が大量に流出した「ルクセンブルク・リークス」がまだ記憶に新しい。そのころから結局何も変わっていないのだろうか?

◆OpenLuxが明らかにした事実
 OpenLuxは、ル・モンド紙が複数の国のメディア16社と共同で何百万もの書類を調べ上げたものだ。それによればルクセンブルクには、事務所もなければ従業員もいない外国企業が5万5000も登録されており、合計で少なくとも6兆5千億ユーロに相当する価値がある。これは、人口約60万人のルクセンブルクの2019年のGDPの100倍以上にあたる。またそのうち90%の会社は非ルクセンブルク人が管理するものだ。さらに、同国に登録されている14万社のうち半分近くは、純粋持株会社で、おそらく有利な税制の恩恵を受けるために設立したものとされる。これらの会社の所有者には、タイガー・ウッズ、クリスティアーノ・ロナウド、シャキーラなどのセレブとバーレーン国王などが名を連ねる。LVMH、ケリング、アルティス、ファイザー、アマゾンなど何百もの多国籍企業も子会社を設立している。

 OpenLuxはまた、疑わしい資金がルクセンブルクに隠されていることも露わにした。「イタリアのマフィア組織のひとつンドランゲタやロシアの地下組織にかかわるケースだ。イタリアの極右政党「同盟」は秘密資金を隠しており(中略)、ベネズエラ政権に近い人々は賄賂による政治資金を洗浄した」(ル・モンド紙)

Text by 冠ゆき