なぜ日本では成功? 自国で倒産、消滅の米ブランドたち 3つの理由

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 アメリカで大型小売チェーンの経営破綻が続いているが、同じブランドが日本やその他のアジア圏で堅調に集客を維持しているケースは多い。トイザらスやタワーレコードなどはその代表例だ。日本の文化や人口密度など、本国とは違った事情が幸いしているようだ。

♦︎小売チェーンの経営危機
 米アトランティック誌から派生した都市情報サイトの『シティ・ラボ』は、いくつかのアメリカ発祥のチェーン店の例を挙げている。玩具チェーンのトイザらスは、アメリカでは2017年に経営破綻し、国内の全店舗(735店)を閉鎖。2019年に入って経営破綻後初となる店舗をオープンし、仕切り直しを図っている。一方、日本では好調で、現在島根を除く全国46都道府県に展開している。別の例として、タワーレコードを運営する米MTSは2006年に破産を申請しているが、日本のタワーレコードは現在も営業中だ。衣料小売のバーニーズ・ニューヨークは、昨年8月にアメリカで経営破綻し売却が決定した。対照的に、日本ではオンライン・実店舗とも盛況だ。また、高級食品店のディーン&デルーカは創業の地であるニューヨークでの店舗数を大幅に減らし、事業存続の危機にあるといわれている。他方、日本では50店舗を維持するなど堅調な運営が続く。このようにアメリカで苦境に立たされているブランドが日本で引き続き人気となっているケースは多い。

♦︎ブランド消滅の例も
 在日米国商工会議所が運営するニュースサイト『ACCJジャーナル』も同様に、アメリカで消滅の危機にあるチェーン店が日本で繁盛しているという現象に注目している。同誌は既出のタワーレコードに加え、ローソンとミスタードーナツを例に引く。これらは経営危機というよりも、ブランドの売却という形でその名が途絶えている。ローソンは、その青地に白いミルク缶のロゴが示すとおり、牛乳販売店としてアメリカで発足した。時代の推移とともに食品店にシフトし、一時はアメリカ国内に700店舗を構えるほど繁盛したようだ。しかし1959年に米コンソリデーテッドフーズ社に買収され、その後コンビニチェーン「デイリーマート」に看板を架け替える形で消滅している。日本では1975年に大阪・豊中で一号店をオープンした後、現在全国に展開しているのは周知のとおりだ。ミスタードーナツについては、一時は北米に約550店を展開するほど栄えたが、大部分の店舗がダンキンドーナツに売却されている。今日1100店舗を構える日本のような勢いはなく、アメリカではイリノイ州ゴッドフリーに1店舗を残すのみとなっている。

Text by 青葉やまと