返還20年「優等生」マカオ、中国が金融センターに育成か?

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◆カジノに頼らない経済、中国が約束
 中国の習近平主席は、返還20周年を記念してマカオを訪問し、カジノに頼るマカオ経済を多角化するための新たな政策を発表する予定だという。ブルームバーグによれば、2016年以来増加していたマカオのカジノ収入は、今年減少に転じた。中国経済の減速や、ベトナムや日本といったアジアの国々が新たにカジノ建設に動き出したことから、来年以降も成長は期待できないという見方が多い。

 新たな政策には、人民元で取引される証券取引所の設立、進行中の人民元決済センターの計画の促進、隣接する中国本土の土地を開発用にマカオに割り当てることなどが含まれているという。

 習主席は、マカオを観光と金融に特化させ、シンガポールのように国際会議のホストとなれるような役割を持たせようとしていると、匿名の中国政府関係者はロイターに語っている。また証券取引所も、スタートアップにフォーカスし、ポルトガル語圏の企業をターゲットにするなど、できるだけ香港や深センの取引所と競合しないことを目指すと関係者は語っている。

◆香港情勢を懸念 従順なマカオが代役に?
 ロイターによれば、マカオに金融インフラを作ろうという動きは、中国ビジネスにも影響を与えかねない大きな市場混乱が香港で起こることを避けるための計画の一つではないかという見方もある。マカオの計画自体は、マカオを香港の代わりにする、または香港を弱体化させるためのものではないと関係者は話すが、香港情勢の悪化を考慮した不測の事態への備えだとしている。

 今回の政策は、マカオがお隣香港の影響を受けず、国家の安全を維持し、中央政府の要求を支持したことから、そのご褒美とも見られている。政治コメンテーターで元マカオ大学教授のラリー・ソウ氏は、中国政府の投資を「香港が欲しがらなかったお菓子」と形容し、「お利口なマカオへのお土産だ」と述べている(ロイター)。

Text by 山川 真智子

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