変わる中国のミドルクラス、政府の思惑通りにならず……長引く米中貿易戦争

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 やられたらやり返すで、さらに長期化しそうな米中貿易戦争。中国政府は、消費拡大で輸出に頼りすぎない経済を作ろうとしているが、その中心となるはずのミドルクラスの消費に変化が起きている。すでに4億人といわれる中国ミドルクラスに何が起きているのか?

◆経済発展の恩恵 ミドルクラスが都市部で急増
 中国のビジネス情報を伝える『China Briefing』によれば、中国の都市部の人口は1980年には人口の19%だったが、2017年には58%に達している。2000年には都市部の人口の4%ほどがミドルクラスとされていたが、2018年には30%以上に拡大した。いまや中国のミドルクラスは4億人、世帯数にして1億4000万世帯の規模になっている。

 ミドルクラスの収入は、公式データによれば、世帯年収2万5000元(約40万円)から25万元(約400万円)とされる(China Briefing)。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、ミドルクラスが拡大したとはいえ、OECDの調べでは世帯収入はアメリカの5分の1ほどだという。中国国家統計局主任は、典型的なミドルクラスは3人家族で世帯年収10万元(約160万円)から50万元(約800万円)だと話しており、中国では、車や家を購入し、旅行を楽しめるレベルだとしている。

 マッキンゼー・アンド・カンパニーは、2022年までに中国の都市人口の76%が、世帯年収9000ドル(約99万円)から3万4000ドル(約370万円)のミドルクラスになると予測している(China Briefing)。

Text by 山川 真智子