イギリスのTPP参加の可能性は? 安倍首相のラブコール、EU離脱派の追い風に

出典:首相官邸ホームページ

 EU離脱を控えたイギリスに対し、安倍晋三首相が「環太平洋経済連携協定(TPP)参加を心から歓迎する」と英紙のインタビューで述べ、英国メディアで話題になっている。離脱後、EUに代わる自由貿易市場を環太平洋諸国に求める考えは、メイ政権内では今年の初めから検証されていた。TPPでリーダーシップを取る安倍首相からの具体的なラブコールは、離脱派を勢いづかせているようだ。
 
◆EUに代わる自由貿易市場に活路
 安倍首相は、東京で英高級紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の8日付のインタビューに答え、「日本は英国のTPP参加を心から歓迎する」「(英国が)EU離脱で欧州市場への玄関口としての役割を失っても、グローバルな強みがある。無秩序な離脱は避けるべきだ」などと述べた。アメリカの離脱で11ヶ国での再スタートとなったTPPに、GDP世界第5位のイギリスが参加して再び12ヶ国体制となるメリットは大きいだろう。安倍首相の本気度はかなり高いと見られる。

 ブレグジット(EU離脱)の結果としてEUという自由貿易市場を失うことは、賛成派・反対派の双方の大きな懸念材料だ。その穴埋めの候補として英・国際貿易省は、今年1月にTPPに参加するオプションを検討しているという声明を発表していた。安倍首相の今回の発言に対しても、フォックス国際貿易相は「歓迎する」とコメントしている。

 安倍首相からのラブコールは、FTだけでなく、他の英主要メディアでも取り上げられた。いずれも離脱派を勇気づける追い風となるという論調だ。BBCは、「EUを離れた方が簡単に自由貿易協定に参加できると主張するリアム・フォックス国際貿易相ら離脱派の間で歓迎された」と報じた。離脱派は、EUにとどまるよりも、域外の国も参加する自由貿易協定の方が有利な条件で参入できる主張してきた。新生TPPを主導する日本からの参加要請は、その点で願ったり叶ったりと言える。また、安倍発言は、来週山場を迎えるイギリスとEUの交渉でも好材料になると見られている。安倍首相は、「両者が知恵を出し合い、最低でもいわゆる無秩序な離脱を避けることに期待している」と述べている。

                                                                                                                 
Text by 内村 浩介

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