日本が米国車を不当検査? トランプ“ジョーク”に米メディア反論「売れないのは……」

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 アメリカのトランプ大統領は先日、日本で米国車が売れないのは、米国車を市場から締め出すために、日本が不合理な検査基準を押し付けているせいだと主張した。それを強調するために、「ボウリングの玉をボンネットに落とし、少しでもへこんだら不合格にする」という“ジョーク”まで繰り出した。

 米国車が日本で売れないのは本当に日本のアンフェアな貿易政策のせいなのか? このトランプ発言を受け、複数の米メディアが、検証記事を掲載している。その多くがトランプ大統領の主張には懐疑的だ。米国車が売れない本当の理由は、日本の消費者の傾向そのものや米国車ディーラーの努力不足にあるという見解を示している。

                                                                                                                 

◆日本は米国車に関税なし、米では日本車に関税課す
 トランプ大統領は、資金集めの集会で行ったスピーチの中で、「日本では、ボウリングの球を20フィート(約6メートル)上から車のボンネットに落とす」「ボンネットがへこんだら検査を通らない。ルーフが少しへこんだだけでも、ダメだ、この車は質が悪いと言う。われわれの扱われ方はひどいものだ」と述べたという。これを伝えた米紙報道を複数の日本メディアが引用し、日本のツイッターユーザーの間で炎上する事態に。米大統領補佐官が「言うまでもないが……ジョークを飛ばしたものだ」と釈明する羽目になった(AFP)。

 確かに日米の自動車のシェアはアンバランスだ。米評論誌「アトランティック」(17年11月6日)は、「日本車は日本の国内市場の約90%を占めている。反対に、アメリカでは、国産ブランドのシェアはずっと小さい。ウォール・ストリート・ジャーナルの自動車販売データによれば、ビッグスリー(GM、フォード、フィアット・クライスラー)の米市場シェアは45%だが、日本車も39%だ」と書く。

 しかし、その理由を日本の保護主義的な貿易政策に求めるのは見当違いだという見方が強い。アトランティック誌などは、日本が第2次世界大戦中にアメリカ車を締め出し、戦後も1970年代まで外国車の輸入を制限していたことが、日本の消費者の国産志向を生み出したのは確かだとしている。しかし、現在は逆に日本がアメリカ車に関税をかけていないのに対し、アメリカは日本車に関税を課していると指摘。CNNは、「日本の自動車市場はそれほど閉鎖的ではなく、単純に満杯なのだ」と、米国車が入り込む余地がないほど、市場が成熟しきっているのが真相だとしている。

Text by 内村 浩介

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