「また“日本製”に恥」東レのデータ改ざん、日本全体の問題を見る海外紙

Evelyn-rose / Wikimedia Commons

 東レ子会社が製造する「ハイブリッドコード」という素材について、品質検査結果の偽装が発覚した。海外各紙はこの話題を早速取り上げ、神戸製鋼や日産など、日本製品の品質検査にまつわるスキャンダルの最新版として報じている。日本には極端に高い品質水準を求める習慣があり、製造現場との乖離が検査の偽装を生んでいるとの見方もある。

◆メイド・イン・ジャパンに泥
 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT、11月28日)によると、東レは問題の個体を13社に対して販売していた。自動車用タイヤやホースのほか、紙の繊維などに使われているという。今回の偽装には含まれていないものの、同社はボーイング社へも高品質の繊維製品を出荷している。安全性が重視される航空産業にも波紋が広がりかねないだけに、今回のニュースは世界の関心を引いている。同紙では神戸製鋼の偽装などにも触れ、「これらの露見は、信頼に足る高品質な製造業で経済的評価を築いてきた国に恥をかかせた」と表現する。

 品質管理への疑問の目は、東レだけでなく日本企業全体に向きつつある。同紙では日産とスバルの無資格検査の問題に触れている。また、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)でも、神戸製鋼、日産、三菱自動車などが品質検査に関して不祥事を起こしたことを振り返る。政府としても重く受け止めているようで、FTの記事では、菅官房長官が東レに信頼回復に努めるよう電話で求めたと伝えている。もはや1社の問題ではなく、世界が「メイド・イン・ジャパン」を見る目にも影響を与えかねない事態だ。

◆「公表の予定なかった」
 品質偽装そのものもさることながら、海外が問題視するのは公表の遅れだ。FTによると、2008年以降に149の個体が品質基準を満たさないまま出荷され、その事実は昨年7月には同社日覺社長の知るところだったという。しかし、安全上の問題が起きていないとして公表は行われなかった。今月初め、ネット上に類似のケースに関するリークがあり、これを受けて初めて公表を決断したようだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙でも、公表の遅れについて触れている。記者会見では公開のタイミングについて質問が集中したという。同社としては、法律違反ではないため社外に周知する必要はないと考えていたようだ。

 NYTでは、他社のスキャンダル公表に追随した形だと伝えている。日覺氏は、神戸製鋼所や三菱マテリアルの問題で品質に関心が高まったため公表を決めた、と述べている。不正が起きていても公表する必要は特にない、という姿勢には海外も違和感を覚えているようだ。

◆高品質の追求で綻び
 品質に定評のあった日本製品だが、高品質へのプレッシャーが仇になっているとの見方もある。FT(11月28日)ではアナリストらの見方として、一連の不祥事は「天井知らずの品質水準と非現実的な利益目標という類似のプレッシャーに直面している多数の日本企業」に共通するものではないかと指摘している。

 NYTにおいても、製造企業がサプライヤーに法定基準よりも厳しい品質を求めることはままあるとしている。このため、サプライヤー側の労働者には、顧客企業の基準をあたかも満たしたかのように検査結果を偽装する動機が生まれるという。

 偽装問題が相次ぐだけに、東レ1社だけでなく、日本の製造業全体の構造的な問題だと各紙は見ているようだ。安全性は高いに越したことはないが、非現実的な目標で不正が横行しては本末転倒と言えるだろう。

Text by 青葉やまと

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