女性は本来野心的、女性の働きやすい環境は全体の利益 – BCG調査

 経営コンサルティング会社であるボストンコンサルティンググループ(BCG)の調査によると、ジェンダーダイバーシティに積極的な企業において女性は男性と同じくらいに野心的であるそうだ。同社のレポートは我々にジェンダーダイバーシティの必要性を大きく感じさせるものとなっている。

◆野心的であることは男女共通
 我々はなぜ女性に野心がないと思い込んでしまうのか。BCGの調査では会社の文化により女性の野心は大きく左右されてしまうという。BCGは、キャリアの分かれ目となる30-40代の男女のどれだけの割合が、より高いリーダーシップ・ポジションを求めているかを調査している。所属する会社がジェンダーダイバーシティの取り組みに進歩的だと感じている場合、男女間に野心の差はほとんど存在しなかった(男性87%、女性85%)。一方でそうした取り組みに非協力的で女性が出世するのに困難な戦いを強いられる組織において、男女間の野心差は17%にも上った(男性86%、女性66%)。

 またキャリアの出発点において女性は男性と同等かそれ以上の野心をもっており、出産によっても野心の低下は見られないという。オーストラリアの新聞「シドニーモーニングヘラルド」紙のインタビューに答えたBCGのマネージングディレクターのアナ・グリーン氏は「もし正しい契約を得られ、適切な職場環境が与えられるのであるならば、女性はリーダーとして成功できる」と述べている。

 BCGによるレポートでは、女性にとって働きやすい環境をつくることは、男性を不利な立場に追い込むものでは決してなく、女性にとって働きやすい環境の実現は男性の犠牲によって成り立つものではなく、男女双方の利益にもなるものだと指摘している。

◆ジェンダーダイバーシティを実現するには
 ジェンダーダイバーシティを実現し、女性の野心を維持させるのには社内に正しい文化を根付かせることが必要だ。BCGはそのための4つのステップを提案している。第一に、男女にそれぞれ明確な役割を与えたリーダーシップチームを設けることだ。リーダーシップチームの選考に当たって男女のバランスがとれた候補者リストを作成し、定量可能なデータに基づき客観的な採用基準を作ることが求められる。第二に、社内の非公式の文化を変えることだ。男性同士のマッチョなやり取りは多くの女性を職場から遠ざけるものだからだ。第三にフレキシブルワークなどの職場改革を絶え間なく行なうことだ。多くの女性とそして男性の野心をも削ぐ一番の要因は、昇進によって仕事に割かなければならない時間が膨大になるからだ。第四に社員の成長に常に注意し、全員を巻き込むことだ。CEOは男女両方のモチベーションを創り、会社のプロジェクトに全員参加させることが求められる。ジェンダーダイバーシティの試みにおいて成果を与えるということが、最も効果的であるとBCGの調査で判明しているという。

 ジェンダーダイバーシティの実現、それは女性に潜在的に備わる野心を発揮させるとともに、男女双方の職場環境も改善させてくれるものだ。CEOなどのリーダーにとってもジェンダーダイバーシティは組織を率いる際に優先対応事項といえるのではなかろうか。

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Text by Yota Ozawa